私らしく生きる 50代からのマチュア世代に

人気記事ランキング 連載・特集

心が苦しくなったときは、どうしたらいい? 玉置妙憂さんの提案「苦しくてたまらないときには、体を動かしましょう。深呼吸だけでも効果あります」

公開日

更新日

ゆうゆう編集部

いらいら、どんより、うつうつ……そんな心のモヤモヤが積もり積もっていませんか。ネガティヴな感情が爆発しないように、心の棚卸しをしましょう。お話を伺うのは、前向きに生きる達人、看護師で僧侶の玉置妙憂さんです。

玉置妙憂
たまおき・みょうゆう●看護師、僧侶、スピリチュアルケア師
1964年東京都生まれ。専修大学法学部卒業後、看護師、看護教員の免許を取得。夫の "自然死" という死にざまに立ち合い、開眼し出家。高野山真言宗 にて修行を積み、僧侶に。現在は看護師として勤務するかたわら、非営利一般社団法人大慈学苑代表として活動。著書に『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)など。

苦しくなったら体を動かす。 深呼吸だけでも効果アリです

私たちの心にいらいらやモヤモヤがあるのは、仏教の考え方からいえば当たり前のことです。仏教における人間の課題は「霊格(魂のランクのようなもの)を上げる」こと。人間は輪廻転生を繰り返しながら霊格を上げていき、最終的には解脱(げだつ)して心のモヤモヤから解放されます。解脱すると輪廻転生から解放されますから、生まれてきたということは「今回の人生では、まだ解脱できていないよ」という意味なのです。モヤモヤもやむをえません。

それでも苦しくてたまらないときには、体を動かしましょう。脳は案外不器用で、1つのことしかできません。散歩でも掃除でも編み物でも深呼吸でもいい、脳に他の仕事をさせましょう。次第に頭の中のモヤモヤはどこかに消え、その動作が終わっても戻ってきません。

私たちはつい「答えが出るまで考え続ける」ということをしがちですよね。とことん考えることが正しいと言われてきたから。でも、答えが出ないときには途中でやめましょう。必要に迫られたとき考えればいい。大丈夫、何とかなります。

相談1
老いていくことへの漠然とした不安にモヤモヤ・うつうつしてしまいます。

50代になり、体力の低下と加齢による心身の不調が気になり始めました。老眼でものが見えにくくなってきたし、足腰も痛くなるし、人の名前や地名がすぐに出てこないこともしばしば。何より、頑張りがきかなくなりました。
こうして人は老いていくのだと気づいたら、急に不安な気持ちになり始めたのです。これからはさらにできないことが増え、そのうち歩くことも不自由になるのでしょう。なかでも「認知症になったらどうしよう」という不安が常にあり、気が重くなります。
年齢を重ねることをポジティブに捉えられるといいなぁと思うのですが、簡単ではありません。(52歳・岐阜県)

玉置妙憂さんの提案  年齢を重ねた私たちは「物事には陰と陽がある」と知っているはず

物事にはすべて陰と陽があります。ネガティブな面とポジティブな面の両方があるということです。病気を治す薬に副作用があるように、若さの輝きの奥には無知や過ちが潜んでいます。年齢を重ねると体は弱り衰えますが、経験に基づく知恵は深まっていきます。私たちはすでに「陰と陽がある」という事実を理解し、片方に引っ張られるのは違うのだと知っているのです。

ですから、いっとき老いのネガティブなイメージに引っ張られたとしても、「悪いことだけではない」と現実を受け止める力があなたにはあるはず。年齢が培ってきた自分の力を信じましょう。

認知症を恐れているようですが、これにも陰と陽があります。あるドクターは「認知症は人間に与えられた防御本能だ」と言っていました。私は今緩和ケア病棟で働いていて、現代の医療では治せない患者さんと向き合っています。余命わずかという、その事実を前に不安にさいなまれる人も少なくありませんが、認知症のある人はとても穏やか。認知症 だって、けっしてネガティブな側面だけではないと知ってほしいと思います。

「認知症になったらどうしよう」と不安になったら、「私はなぜ 認知症が怖いんだろう」と考えてみてください。親しい人の顔を忘れる寂しさでしょうか、ひとりで暮らせなくなることでしょうか。具体的に思い描くうちに、もしかしたら「何とかなりそう」と思えるかもしれません。年齢を重ねたことのポジティブな側面は、物事をいろんな角度から見て受け止める能力が身についていること。その力を今こそ使いましょう。

知ってる? PR

50代から「ペントハウス」にハマる理由とは?

50代から「ペントハウス」にハマる理由とは?

タワマンに住む富裕層の欲望が渦巻くサスペンス。韓国ドラマ「ペントハウス」が話題です!奇想天外な物語になぜハマる?トップブロガー 中道あんさんがひも解きます。

詳細はこちら
この記事の執筆者

PICK UP 編集部ピックアップ