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阿川佐和子さんが語る【ワクワクを見つけるヒント】とは?「嫌なことも人に話せば笑い話になる!」

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ゆうゆう編集部

つらいことは笑い話に変えて心を軽く

緊張感のある撮影現場でも、「これ、面白い」。好奇心いっぱいに、どんなことでも面白がる阿川さんは、やはりワクワク上手なのだと思う。

「何でも面白がる癖はありますね。自分が馬鹿みたいに怒っている最中でも、なんて愚かなんだろう、面白いなと思うことがありますから」

そうした性格は生まれ育った環境のせいかも、と阿川さん。父は作家の故・阿川弘之さんである。
「父は本当に男尊女卑で自己中心の人でした。家族には『俺がこんなに頑張っているんだから、お前たちは俺のために尽くせ』と。何でも父が一番。誰かがお手洗いに行けば『俺がおしっこしようと思うと必ずお前が先に行く』、公衆電話から電話をかけてくると、『俺が電話すると必ず話し中だ』、しまいには運転して出かけると『俺が差しかかる信号は全部赤になる』と怒る。こちらにしてみれば、そんなことないだろう、って(笑)」

思春期には父に「出ていけ」と怒鳴られたり、「家出してやる」と泣いたりしたことも数知れず。
「もう一家離散になるかと思うほどの悲劇のどん底になったこともあるけれど、その話を友達にすると笑うのよ。『この話、おかしいわけ?』と言うと、『だって毎回じゃん』と。そうね、他人が聞くと面白いよね。自分ほど大変な娘は世の中にいないと思ったりもしたけれど、そうでもないということに気がつきました」

嫌なことも人に話せば笑い話になる。それは人生を明るく歩むためのサバイバル術でもある。

「『つらい、つらい』と思っていると、どんどんつらいことが重なって自分の心が重くなってしまうけれど、『たいしたことないわ』と笑ってしまえば重荷が小さく軽くなっていくような気がします。私の場合は父という暴君から自分を救うための方便として、笑い話にしてきたという部分もありますけれど」

中学・高校は女子校。そこで知り合った友達は皆、笑うことが大好きで、阿川さんの不満や愚痴を聞いては一緒に笑い飛ばしてくれた。その頃の仲よしグループとのつき合いは現在まで続いている。

「私の『聞く力』という本がなぜか売れたとき、そのグループの友達にも送ったら、みんな『阿川もこの本読んだらいいよ』 『普段、聞く力なんかないでしょ。参考になるよ』って(笑)。そういう言い返しをするのよ。見事でしょ」

学生時代の女友達との関係性は、阿川さんの近著『ブータン、世界でいちばん幸せな女の子』で描かれたテーマでもある。
「大人になって状況が変わるとつき合い方も変化しますよね。主婦は主婦同士で悩みを語り合いたいし、仕事人は仕事人同士で話をしたい。学生時代に完璧だと思っていた人の弱みを知ったり、深くは知らなかった人の本当のよさが見えたりすることもあります。女友達って移ろいやすいということを書きたかったんです」

『ブータン、 世界でいちばん幸せな女の子』
1870円/文藝春秋

世界一幸せな人間になることを目標にする、朗らかな女性「ブータン」をめぐる連作短編集。アラフォーの渡部万里子は伯父の入院先で中学時代の同級生、ブータンと再会する。ブータンの本名は丹野朋子。ブタみたいに太っていたので「ブータン」と呼ばれていた。 中学時代は存在感ゼロだった彼女だが、出会った人たちに幸せを運んでいた─。せつなくも心温まる、女友達の物語。

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