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鴻上尚史さんを変えた3つの言葉とは?「時代は協調性から多様性へ。言葉を尽くして伝えていくことが大事」

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ゆうゆう編集部

今は違いを認め、互いの自由や尊厳を尊重する時代

「多様性の時代といわれているけれど、多様性ってしんどいんです。一人ひとり違うと、認めることだから。このとき必要なのはシンパシーではなくエンパシーの力です」

たとえば「シンデレラがかわいそう」と同情するのはシンパシー。「継母がシンデレラにきつく当たるのは、結婚で経済的にラクになると思ったのに当てが外れた怒りをぶつけているからかもしれない」などと考えるのはエンパシーだという。
「継母に1ミリも共感しなくていい。その立場を考える、想像するということがエンパシーなんです」

孫に袋菓子を送ったら、若夫婦に「うちはオーガニックしか食べない」と言われ、自分たちの好意が踏みにじられたと怒るのはシンパシー。「どんなものなら喜んで食べてくれる?」と聞いて、相手に寄り添おうとするのがエンパシーということになる。

「日本では『自分の嫌なものは相手も嫌だ』という考え方、つまりシンパシーばかりが大切にされてきた。でもこれからはお互いの意思を尊重する力、エンパシーを訓練していかないと立ちゆかない。と同時に、何がいちばん大事なことなのかを考える訓練もしてほしい。たとえば孫にお菓子を送ったのは『若夫婦と孫に喜んでもらいたかったから』と、そこを押さえておくと、もめたときにもコミュニケーションが続き、最悪の結果を避けられます」

何歳であってもエンパシーは身につけられ、人は変われるとも言う。

「僕自身、いろんな人と接する中で、相手の事情やそれぞれに響く言い方は何だろうと考え、学習してきました。変わろうと思う人は、変われます。変わり続けられます」

「シンパシーよりエンパシー」

「私とあなたは違う。悲しいね」というのはシンパシー。「違いを認め、それぞれの自由と尊厳を尊重しつつ、お互いに何ができるか考えよう」というのがエンパシー。エンパシーはこれからの社会を生き抜くために最も必要とされる力のひとつだ。

PROFILE
鴻上尚史
こうかみ・しょうじ●作家、演出家
1958年愛媛県生まれ。作家、演出家。早稲田大学法学部出身。舞台だけでなく、映画、小説、エッセイなど多方面で活動。著書に『演劇入門生きることは演じること』、『同調圧力のトリセツ』(共著)など多数。『鴻上尚史のほがらか人生相談』の第4弾も発売中。

※この記事は「ゆうゆう」2023年2月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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