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田幸和歌子の「今日も朝ドラ!」

朝ドラ【舞いあがれ!】チーム戦の展開は「なにわバードマン」再来のよう。欠けていたピース(横山裕)も見事にハマった

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田幸和歌子

一方、舞の熱心な営業スタイルは取引先にかつての浩太を思い出させ、それが新しいネジの仕事の受注につながる。それは大きな取引だったが、ヘッドハンティングで他社へ行った章(葵揚)がいない中、ネジの設計を誰がするのかという問題に。そこで舞はこっそり結城に助けて欲しいと連絡をする。元社員とはいえ、社外の人に試作品の設計を依頼するのは本来、ルール違反だ。だからこそ章が工場に来て、図面を見せて欲しいと言っても、めぐみは躊躇するし、従業員たちは無償で手伝わせるのはダメと言い、章は今いる会社にきちんと許可をとってIWAKURAの試作に参加する。

舞の素人ならではの無茶を、周りの大人がきちんとたしなめるのも良いし、そんな素人の無茶が結果的に工場に新しい風を吹き込んだ展開も良い。最初は「世間知らずのお嬢ちゃん」である舞に嫌みを連発していた事務員・山田(大浦千佳)が、要領が悪く、根気強くしぶとい舞に半ば呆れ、感心し、巻き込まれていった結果、真っ先に残業を飲んでくれたのも嬉しい。

さらにめぐみは土地と工場を投資家に買ってもらったこと、その購入者に家賃を払うことで工場を続けていくことを社員たちに報告する。その投資家は、悠人(横山裕)だった。しかも、親として情に訴えかけるのではなく、「経営者」として正面からビジネスの交渉をし、再建プランに納得してもらったうえで資金協力を得るめぐみ。悠人の表情は大きく変わらないが、頬に赤みがさす様に、親が自身を認め、対等に向き合ってくれたことへの高揚感が見える。ここまで欠けていたピース――悠人が、ここに来て見事にハマった。そして章もIWAKURAに戻って来てくれることに。

「日々の地道な積み重ね」と「チーム戦」の描写が実に巧みな桑原亮子脚本の良さが濃密に詰め込まれた第16週だった。

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