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NHKドラマ【大奥3話】家光(堀田真由)圧巻の芝居。福士蒼汰とのあまりに短く悲しい束の間の幸せ

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田幸和歌子

江戸時代の男女逆転の世界が描かれる、NHKドラマ10「大奥」。奇想天外なエンターテインメントに、毎週ひきこまれていく人も多いことでしょう。数多くのドラマレビューを執筆するライター田幸和歌子さんに、NHK版「大奥」について語っていただきます。
(ネタバレにご注意ください)

よしながふみ原作漫画×森下佳子脚本によるNHKドラマ『大奥』の第3話が1月24日に放送された。

流行の病「赤面疱瘡」で亡くなった父・家光の身代わりとして徳川家の子を産む道具にされ、「この世にいてはならぬ方」として隠されてきた将軍・家光(堀田真由)と、無理やり還俗させられ、大奥に仕えることとなった元僧侶・有功(福士蒼汰)。どちらも春日局(斎藤由貴)の策略で、自身の人生を奪われてきた2人だ。そんな二人の心の距離が、家光が有功に猫を与えたことで近づく。

猫を介して、家光はしばしば有功を訪ねることに。有功が猫に『源氏物語』にちなんで「若紫」という名をつけると、物語を知らない家光は『源氏物語』を読み始める。そんな中、家光の心の傷が徐々に見え、一方でひたすら恐ろしかった春日局の悲しさも見えてくる。

病弱で偏食だった亡き家光のために、ズラズラ並べたら、中には気に入るものがあるだろうと7種のご飯を用意した「七色飯」。同じく、男色で女性に関心を抱かない家光のために、どれか気に入るだろうと美女を揃えたのが「大奥」の始まりだったこと。しかし、そうした中、側室に選ばれた上様の母上は特別だったのだろうと有功が言うと、不意に顔を曇らせる。

家光の思いと、それを全く理解しない春日局が、どちらも悲しい。

『源氏物語』を読んでみたが、源氏に思いを寄せる女たちの気持ちがわからないと家光は言う。ところが、春日局は家光が光源氏の世界に憧れていると思い込み、有功に恋の歌を詠み、家光をその気にさせろと言う。玉栄(奥智哉)の無礼な発言により、「わしは誰の子も産まぬ!」「もちろんお前の子もな!」と顔を真っ赤にして怒りをあらわにする家光は、まだ幼い少女のようだ。

有功は家光の初めての男が手打ちにされた経緯を春日局に尋ねるが、「どのようにできた傷かわからずとも、薬があれば傷は治る」と言われる。薬を間違えれば傷を悪化させると有功は言うが、傷を癒すのは子を持つこと、女はそういう風にできていると言い切る春日局。その物言いにはゾッとするが、こうした偏見・思い込みは令和の時代にあっても完全に絶えてはいないことにもっとゾッとする。

そんな中、有功と家光をつなぐ若紫が何者かに斬り殺される事件が起こる。実は若紫を手にかけたのは玉栄で、自身に乱暴をした者に罪を着せることで復讐するためだったが、玉栄の様子がおかしいことに気づきながらも有功は問い質そうとはしなかった。玉栄が復讐のためとはいえ、弱い者を道具とし、踏みにじる図式は同じだということが、なんとも悲しい。

一方、若紫の死を怒りで消化する家光に、有功は弔いの意味を解くが、家光は「幸せ者の戯言」と一蹴。若い女の髪を切ってうっぷんを晴らしていたことを有功に気づかれ、責められると、父もなく、母も取り上げられ、髪も切られ、女の名も取り上げられ、子を産むために腹だけ貸せと言われる自身の運命への怒りと悲しみを爆発させる。そして、どこか自身と重ねていたであろう有功に説教されたことで、完全に心を閉ざしてしまうのだ。

有功は家光に反抗し、処分されることとなったが、冥土の土産にと、家光のことを聞かされる。

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