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原田ひ香さんが描く、元キャバ嬢と元不動産投資家の投資版マイ・フェア・レディ⁈『老人ホテル』

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ゆうゆう編集部

10円、20円の節約が億の資産につながっていく

これまでにも、経済をテーマにした小説はたくさんあったが、企業買収やマネーロンダリングなど、スケールの大きな話になりがちだった。しかし原田さんは、そこを庶民の身近な経済問題として描いている。登場人物の体験を通して教えられるのは「そもそもお金とは? お金を貯めるとは?」という基本的な考え方だ。

「本当の資産家とかお金持ちって、本当にケチですよね(笑)。1円、2円を大切にするし、何億円も持っているのに、とにかく無駄遣いをしない。一見とてつもなくかけ離れているように見える何億円の資産と日々の10円、20円の節約が、実はつながっているんだよということを、小説の中で見せていきたいという思いがあります」

ところで、「ランチ酒」シリーズや『古本食堂』など、原田さんには食をテーマにした作品も多い。こちらのリアルな描写も魅力だ。

「食は、一時は仕事にしようと思ったほど興味があるテーマです。考えてみれば、お金も食も生きるうえでの基本。お金って手間をかけたところに乗ってくるものだと思う。コンビニで調理パンを買うところを、食パンを1斤買って自分でサンドイッチを作って食べたほうが節約できる。そうすれば、食生活も整って健康面もよくなる。

小さないいことを積み重ねていけば、どんどんいい方向に向かっていく可能性は高い。『生まれが裕福でないとダメだ』と最初から諦めず、そこは毎日の積み重ねだよということも伝えたいですね」

天使は、これからどうやって人生を切り拓いていくのか。作中に織り込まれるさまざまな社会問題についても考えさせられることが多い。それでもすべての人に希望と再生のチャンスはある。そう信じたくなる。

著者プロフィール
原田ひ香
はらだ・ひか●1970年神奈川県生まれ。2005年「リトルプリンセス2号」でNHK創作ラジオドラマ大賞受賞。07年「はじまらないティータイム」ですばる文学賞受賞。『三千円の使いかた』が節約家族小説と話題になり大ベストセラーに。

撮影/喜多剛士

※この記事は「ゆうゆう」2023年3月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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