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【大奥6話】NHK初のインティマシー・コーディネーター導入。仲里依紗と山本耕史が現代にも通じる深い悲しみを演じる

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田幸和歌子

江戸時代の男女逆転の世界が描かれる、NHKドラマ10「大奥」。奇想天外なエンターテインメントに、毎週ひきこまれていく人も多いことでしょう。数多くのドラマレビューを執筆するライター田幸和歌子さんに、NHK版「大奥」について語っていただきます。
(ネタバレにご注意ください)

よしながふみ原作漫画×森下佳子脚本により、男女逆転劇の世界を描くNHKドラマ『大奥』の第6話が2月14日に放送された。

前回後半よりスタートした五代将軍綱吉・右衛門佐編。「当代一の色狂い」と称された5代将軍綱吉/徳子(仲里依紗)は、父・桂昌院(竜雷太)の反対を押し切り、京から来た公家出身の右衛門佐(山本耕史)を側室候補にしようとする。

しかし、右衛門佐は来年、夜伽の相手の年齢制限・35歳になるため、ほんの一時しかそばにいられないこと、となると嫉妬や屈辱に耐えられなくなるだろうことを理由に、他に良い役目が欲しいと願い出る。そこで所望したのは、「大奥総取締役」の役目。右衛門佐は「種付け馬」ではなく、人として確かな力を得て、真の男の頂点に立ちたいという野心を抱いていたのだ。

この段階では、共に美貌と教養を兼ね備えた綱吉と右衛門佐の欲望に濡れた狐と狸の化かし合いのような様相である。

この右衛門佐のポストに強く反対したのが、桂昌院だ。いまや桂昌院といえば、大奥で権力を握り、柳沢吉保(倉科カナ)と関係を重ねるエロジジイに成り果てているものの、何しろ「大奥総取締役」は、桂昌院(玉栄)が敬愛していた有功(福士蒼汰)が特別に与えられた役目だ。

しかも、吉保(倉科カナ)の進言もあり、渋々認めたものの、右衛門佐は権力を持つと、綱吉の側室・お伝の方(徳重聡)に御殿を与え、桂昌院と同等の待遇にする。決定したのは綱吉で、自らは「忠なる遣い」と称する右衛門佐の如才なさ。35歳で夜伽の役目を解かれることを知った上で大奥に入った策略を吉保に指摘されても、「上様は全てお含みの上で楽しんでいらっしゃる」と、綱吉の聡明さを利用して相手を説き伏せるのだ。

そんな右衛門佐を失脚させるべく、桂昌院と吉保は京から選りすぐりの男たちを集めたものの、綱吉が選んだのは右衛門佐の手引きでやってきた大典侍(一色洋平)だった。裏で意のままに政をコントロールしていく様は、さながら大河ドラマの数々の作品に登場する、男たちを操ってきた悪女たちのようでもある。

しかし、そんな謀を、右衛門佐と大典侍が『韓非子』で同じ箇所を間違えた写本を使っていたことから見破る綱吉。その学問への造詣の深さにも洞察力の鋭さにも惚れ惚れしてしまう。

ところが、一人娘・松姫を失ってから、悲しみに塞ぐ綱吉は、別人のように生気を失っていく。にもかかわらず、桂昌院に「世継ぎを産むのは将軍しかできない」と言われ、懇願されると、「わかりました」と静かに笑顔を見せる。権力のみならず知力も気力も男たちをはるかに凌駕する綱吉が、父の涙と自分自身の運命には負け、化粧を施す様が切ない。

そこから世継ぎを産むため、毎夜、男たちと夜伽を重ねるが、懐妊の気配はない。桂昌院は昔、「将軍の父になる」と予言した僧に、どうしたら綱吉に世継ぎができるかと聞くが、若い頃に殺生をしたからと言われる。そこで、世継ぎを授かるために一切の殺生が禁止され、「特に犬を大切にせよ」というお告げに従い、「生類憐みの令」が出されることに。

本作で描かれる美しく聡明な綱吉像と、天下の愚策「生類憐みの令」がどうにも結びつかなかったが、まさか有功に嫌がらせし、玉栄には乱暴した者を陥れるため、道具として猫を殺したことが、ここに来て世継ぎ問題と、さらに生類憐みの令にまでつながるとは。

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