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文具ライター小日向 京さんの【手書き】のすすめ。ざらっとした紙に万年筆で書くと見えてくるものとは?

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小日向 京

子どものころ、お気に入りの消しゴムやをえんぴつを、かわいい筆箱に入れて持っていたマチュア世代のみなさんも多いのではないでしょうか。文字と文房具に並々ならぬ関心と愛情をもつ、文具ライターの小日向 京さんに、文房具について語っていただきます。なつかしい文房具にほっこり。そして新しい世界が広がります!

パソコンやスマートフォンなどでの文字入力が主流となっている現在、とても便利な時代になりました。はじめから文字の形は整って表示され、漢字入力も変換候補が出てきてくれるので、だいたい困ることはありません。間違えても消せ、文章の移動やコピーもできて、レイアウトも作れたりします。慣れてしまうと「手書きよりこちら」となるでしょう。

しかし、文字入力と手書きは対義語なのでしょうか。

デジタルツールが登場して以来「デジタルか、アナログか」という言葉が聞かれるようになりました。「新しいものは古いものを凌駕する」という世のならいに則って、ついつい新しいものを贔屓目にとらえてしまうことがあります。あるいはその反対で、新しいものにはひとまず懐疑的になっておく、これまでのものが一番! という考えかたもあります。

そんななか、こと文字を書く、文章を書く、という行為においては「どちらもそれぞれに良いところはあるから、状況に応じて両方やるといい」と筆者は考えます。

手書きの良いところは、「自分の心が見えてくる」点にあると思います。

具体的には主に、
① 1日のいろいろな時間帯やその時の気持ちなどによって文字の形が変わる
② 筆記具や紙の感触で気分が盛り上がることがある
③ ①②をきっかけに、ありのままの自分と対話しているような感覚を抱く
というもので、これらはかなり貴重な「情報」です。

そこで筆者は時間を見つけて考えごとをノートに書くようにしています。考えを文字や文章にして自分の心を知り、今後やるべきことを定めるのが目的です。

心の状態を示した記述例を紹介すると、以下のようなものがあります。

↑こちらは書いていて気分が良い時の文字です。楽しいからか、筆記速度もついて文字の形は不揃いですが、よくはねて「鮮度の高い」雰囲気が。やってみたいことが次々と浮かんできました。

↑こちらは眠かった時の文字です。眠いけれども書きとめておきたい……という一心で、文字が曲がったり、間違えた線を塗りつぶしたりしていますが、この時に書いていなければすっかり忘れていたかも知れないので良しとします。

↑こちらは最高潮にイライラしていた時の1ページで、新たに買った万年筆のインクが出ず、なぜなのだ? としつこく試し書き。ほとんど文字ではありませんが、「この時に買った万年筆は、なかなかインクの出が安定しなかった。自分はそのことにイライラしていた」という格好の視覚的な記録となりました。その万年筆は今では安定し、快適に使えています。

これらの記述例から、手書きには「体温」があることを感じ取っていただけるでしょうか。

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