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清水ミチコさんの〝あきらめる力〞「老いだって、笑えばネタに。60代を迎え、いい意味で力が抜けラクになってきました」

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ゆうゆう編集部

年齢を理由にあきらめたり、「まだこれから」と自分に言い聞かせたり。年齢のとらえ方は人それぞれです。年齢について思うことを、清水ミチコさんに語っていただきます。オリジナリティあふれるモノマネで、お茶の間もお笑いファンも、そして真似をされた本人まで惹きつけてしまう不思議な魅力の持ち主。年齢を軽やかに受け入れる姿勢にも、独特の視点がありました。

加齢はお得!? 年とともに得たもの

「年齢は感じますよ!」と明るく言う清水ミチコさん。
「最近ではどこに行っても最年長で、その状況にも慣れちゃいましたし、体の衰えでも感じますしね」
だが否定的にはとらえていない。

「ある日突然、年をとったわけではなく、先人たちを見ながら自分も行く道だと予感していましたからね。悲しいというより、むしろ笑いになっておいしいなっていう。老いって、悲観的に話せばこんなに暗い話もないけれど、綾小路きみまろさんのように、物忘れも老眼もネタにしてしまえば、延々笑っていられます。誰もが通る道なので、世界中から共感が得られるんですよ。人と共感できるって楽しいことですよね。

それに若い頃からどんなに強気で生きてきた人でも、老いには勝てない。ちょっとみじめになった自分を受け入れていくっていうのも、可愛げになるのでは」

先日は、妙齢女性たちのたくましさに触れたそう。
「映画を観に行ったら、にぎやかなおばさんたちがいたんです。映画が始まれば静かになるのかなと思ったら、ずっとおしゃべりし続けていて。彼女たちも若い頃はきっとそうじゃなかったはず。それがどこか神経が図太くなって、強くなったんでしょうね。

もちろんあまりに迷惑をかけるのはよくないけれど、海外で映画を観たら、遅刻はするわ、途中で騒ぐわ、もう大変。イタリアの映画館では、映画を途中で切ってトイレ休憩まで入るんですよ。吹き替えと口の動きが全然合っていなくても平気。そういう自分中心的な強さに比べると、日本人はあまりにも人目を気にしすぎるところがあるので、年とともに強くなるのはいいことなんじゃないかと思います。あれ以上うるさくならなければ、ですけどね」

実家は、岐阜県高山市でジャズ喫茶「if珈琲店」を営む。幼い頃から上質のジャズに触れたことも、その後の清水さんに影響を及ぼした。

アルバイト時代 短大を卒業し、アルバイトをしていた20代前半の頃。「芸能」が身近にある都会生活を堪能しつつも、人生をつまらなく感じてしまうこともあったという。

〝あきらめる力〞でストレスが激減

「共感ネタ」「可愛げ」「鈍感力」……。
さまざまなものが得られる加齢は、「お得と言えばお得」と、清水さんは前向きにとらえる。自分自身、若い頃はつまらない人間だったなあと思うことがあるそう。

「ちょっとしたことでクヨクヨしたり、いつまでも悩んでいたりするタイプだったんです。仕事で落ち込むこともたくさんありましたし、プレッシャーに負けて収録を休みたいとプロデューサーに電話したことだってあります。そのときは笑いながら軽く無視されましたが。そんな自分を変えたいと思って心理学やメンタルトレーニングの本を読んだことも。すぐに改善されるということはなかったけれど、何でしょうね、私にもいつの間にか年齢特有のたくましさが身についたのかもしれません」

テレビ、ラジオ、ライブと多くの場所で活躍してきた清水さんだけに、経験が人を変えたのだろうか。

「慣れもあると思いますけど、大きいのはあきらめる力がつくことかも。あきらめるって、ネガティブなイメージの言葉ですが、自分に合わないことはあきらめて、他のことを頑張るのは大事なことだと思います」

人間、自分はもっとできると思いたいし、周りの期待に応えたいとも思うもの。だが、そうやって無理することが本当に自分にとってプラスになるのか、考えてみることも大切だという。

華やかなパーティに行ったり、苦手な人に会ったりすることも少なくなったそうだ。

「仕事上、顔を出したほうがいいのかもしれないけれど、やっぱり自分には向いていない。自分が伸び伸びとしていられる場にしか行かないようにしていますね。そこはストレスレスにしていかないと」

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