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山崎育三郎、7年ぶりの新作ミュージカルを語る。「子どもの頃に感じたミュージカルのワクワクを美しい歌にのせて届けたい」

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ゆうゆう編集部

忘れかけていた子ども心を思い出して

その山崎さんが、約7年ぶりとなる新作ミュージカルに挑む。5月15日に幕を開けた『ファインディング・ネバーランド』。ここ数年は『エリザベート』『モーツァルト!』など再演作品が続いていた山崎さん。それだけに、ファンにとっても待望の新作といえよう。

「再演は、自分のやった作品が繰り返し上演される喜びがありますし、先輩たちが築き上げてきた作品に自分の色で挑戦するというやりがいもあります。一方で新作は、稽古の現場でディスカッションをしながら、演出家をはじめとしたカンパニーのみんなとつくっていくもの。何もない状態からセット、小道具、照明、音響、楽器など、一つひとつ積み重ねていく瞬間に、すごくワクワクします。僕は本番と同じくらい稽古場が好きなので、今はとにかく楽しみな気持ちしかありません」 

15年からブロードウェイで500回以上上演され、多数のメディアに絶賛された人気作。今回の日本での新演出版に挑戦したいと思った大きな理由のひとつは、ミュージカルの要でもある“歌”だった。

「僕がミュージカルを観るとき一番のポイントにしているのは、名曲があるかどうか。ミュージカルはやっぱり歌がよくないと絶対にヒットしませんから。その点、この作品には『いい楽曲だな』『歌いたい!』と思うナンバーがたくさんあり、魅力を感じました」

山崎さんが演じるのは、名作童話『ピーターパン』の作者である劇作家ジェームズ・バリ。スランプに陥っていたバリが、ある家族と出会ったことで物語を書き上げ、劇場で『ピーターパン』を上演するまでを描いた物語だ。

「バリは大人になり切れていない人、“子ども心”をすごく大事にしている人です。僕は12歳で初めてミュージカルのステージに立って以来、そのときの感覚をずっと忘れたくないと思いながら仕事を続けてきました。子どもの頃に感じた想いを大事にしたいという自分の気持ちと、この作品のテーマがリンクしたことも、出演の決め手に」

場の空気を読んで本心を抑え込んだり、周囲からの評価を気にしてモヤモヤしたり。いつの間にか心の疲れた大人になってしまっていないだろうか。本作はそんな私たちに忘れかけていた純粋さや想像力、遊び心などを思い出させてくれる作品でもある。

「バリの生き方を通して、なぜその仕事を始めたのか、何を大事にしてやっているのか、という核心を突きつけられる。だから誰もが自分の子ども時代を思い返すだろうし、原点に戻れると思います。この作品に出合って、僕自身もなるべく子どもの心でいたいと改めて感じました。神経質に人の顔色ばかり気にしていたら、メンタルがやられちゃいますから。自分の心を守るためにも子どもの心でいること、自由でいることを大事にしたいです」

夢中になれるものが見つからない人、悩みを抱えている人にこそ観てほしいミュージカル、と山崎さん。

「生のオーケストラがいて、目の前で役者が演じる、その空間を体験すれば何か感じるものがあるはず。自分は何が好きだったかな、どんなことにワクワクするのかな、ということを思い出す時間にもなると思います。悩んでいる方はぜひ『ネバーランド』へ!」

PROFILE
山崎育三郎
やまざき・いくさぶろう●俳優
1986年、東京都生まれ。2007年、ミュージカル『レ・ミゼラブル』のマリウス役に抜擢される。以降、『モーツァルト!』『エリザベート』などに出演し、ミュージカル俳優として脚光を浴びる。現在はミュージカルだけでなく、ドラマや映画など映像作品への出演、トーク番組のMC、歌手活動など、幅広いジャンルで活躍中。近作に映画『イチケイのカラス』、ドラマ「リエゾン─こどものこころ診療所─」など。

撮影/中村彰男 ヘア&メイク/松田 陵(Y's C) 取材・文/本木頼子

INFORMATION

ミュージカル
『ファインディング・ネバーランド』

1903年のイギリス。創作に行き詰まっていた劇作家ジェームズ・バリ(山崎育三郎)は、公園で未亡人シルヴィア(濱田めぐみ)と4人の子どもたちに出会う。彼らと遊ぶうちに純粋な気持ちや想像することの素晴らしさを思い出したバリは『ピーターパン』の物語を生み出し、ついに新作舞台の公演初日を迎えるが……。

出演/山崎育三郎、濱田めぐみ、武田真治、夢咲ねね、杜 けあき 他 
日程と会場/5月15日~6月5日(東京・新国立劇場中劇場) 
他に大阪、久留米、富山、名古屋公演もあり
●問ホリプロチケットセンター☎03-3490-4949

※この記事は「ゆうゆう」2023年6月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

ゆうゆう2023年06月号

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