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【家族疲れ】外面だけはよく、実は優しさがない夫に疲れました|心療内科医・海原純子さんがアドバイス

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ゆうゆう編集部

家族だからこそのストレスとどうつき合うとよい? 心療内科医としてさまざまな心の問題に取り組んできた海原純子さんに、「夫疲れ」についてアドバイスをいただきました。

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PROFILE
海原純子さん

うみはら・じゅんこ●東京慈恵会医科大学卒業。医学博士、心療内科医、産業医。昭和女子大学客員教授。日本ストレス学会理事、日本生活習慣病予防協会理事。
『大人の生き方 おとなの死に方』(毎日文庫)など著書多数。
ジャズシンガーとしてジャズアルバム『Then And Now』などをリリース。

【相談①】外面だけはよく、実は優しさがない夫。私に相談もなく家まで建てる始末です

夫は建前が先に立ち、言うことだけは立派。先日も街で知り合い夫婦にばったり会い、奥さんが荷物を持っているのを見た夫は、ご主人に「持ってあげんか!」と言っていましたが、自分は荷物など持ってくれたことがありません。

家を新築したときも自分だけの考えで家も庭も造ってしまい、私にはひと言の相談もなし。仏壇用のお花を育てるために小さな畑だけは確保しましたが、それですら「俺が木を植えようと思っていたのに!」と怒られてしまいました。

一事が万事、この調子。「家族より自分が一番」の人なので、身内がいつも辛い思いをしています。
(たんぽぽさん・70歳)

【海原さんのアドバイス】あなた自身の考えを伝える努力を。相手が変わらなくても、自分が変わっていきます

幼少期からの男性優位の教えが根底に

夫に思いやりをもってほしいというお悩みは多いもの。特にたんぽぽさんの年代なら、女性は「夫(男性)はこう思うだろう」と想像しながら行動しますよね。ところが男性はそうではありません。

「相手の話を聞かない」「自分は正しいと言い張る」といった男性の傾向は、子どもの頃から「男らしくしなさい」と言われて育ってきたことが原因。この夫の外面がいいのも、男らしさの表現なのでしょう。昔の日本にはそれだけ男性優位の考え方が根深く浸透していたのです。

アサーティブの実践が自分と社会を変える

残念ながら、女性と同じような思考や行動は、男性には期待できません。でも解決法が一つだけあります。それは「自分自身の思考や行動を変えること」。たんぽぽさんの場合は、自分の思いをきちんと夫に届けることです。

「どうせ聞く耳をもたないから言ってもムダ」と最初からあきらめるのではなく、我慢強く「私はこうしたい」と伝えていく。このような行動を「アサーティブ」といいます。アサーティブとは、自己主張ほど強くはなく、でも忖度や遠慮はしないで、自分の考えをしっかりと伝えること。実はこれができないと家族疲れはなくならないのです。
アサーティブをやり続けていると、「私はやるべきことをやっているのだから、これでいい」と納得でき、自己肯定感が高まっていきます。もし状況が変わらなかったとしても、悲観的になったり、相手を恨んだりが減っていくはずです。

もっと長い目で見れば、すべての妻がアサーティブを実践していけば、社会全体の空気も変わっていくでしょう。野球でもサッカーでも、数十年前までは「日本なんて頑張ってもムダ」と世界から思われていましたよね。でも努力を続けることでプレーヤーに自信がつき、世界に通用する強さが生まれました。

女性にも社会を変える同じ力があります。ぜひたんぽぽさんのような先輩方から先陣を切ってほしいと思います。

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