私らしく生きる 50代からのマチュア世代に

人気記事ランキング 連載・特集

認知症の初期からあらわれる症状「財布がなくなった」には、どう対処したらいい?

公開日

更新日

マチュアリスト編集部

認知症になったら、免許の返納を

高齢ドライバーによる、痛ましい交通事故が増えています。高速道路を逆走したり、アクセルとブレーキを踏み間違えたり、道の真ん中で立ち往生したり、家に戻れなくなったり。認知症の人の車の運転には大きな危険がともないます。

親が認知症になったら、運転はやめてもらわなければなりません。認知症を発症していて運転をするのは危険であることを、親に説明し、納得してもらいましょう。運転免許を返納するだけではなく、車のキーを回収する、車を処分するなど、本人が運転できない環境を考えましょう。

高齢になると、体の反応はどうしても鈍くなっていきます。悲惨な事故が起こる前に、認知症を発症しているかどうかにかかわらず、免許の返納を考えてみるよう親と話し合いをもつのもいいでしょう。

なお、運転免許証を自主返納した場合には、申請すると運転経歴証明書が発行され、地域により違いますが、さまざまな特典が受けられる仕組みになっています。

高齢者の免許更新制度が新しく

2022年5月から、高齢者の免許更新制度が変わりました。

70歳〜74歳の人は、免許を更新するためには、高齢者講習の受講が必要です。
75歳以上の人は、免許を更新するためには、認知機能検査の受検と高齢者講習の受講が必要です。認知機能検査は、記憶力や判断力を測定する検査です。

認知機能検査の結果により、「認知症のおそれあり」または「認知症のおそれなし」と判定されます。

「認知症のおそれあり」と判定された場合は、すぐに免許を更新することはできず、医療機関の受診が必要となります(直ちに運転免許が取り消されるわけではありません)。

高齢ドライバーによる事故を減らすための制度の見直しですが、免許更新までに時間があったり、70歳未満だったりした場合には、免許を返納することに抵抗する人は少なくありません。

免許返納に抵抗する親への対処法

免許を返納することに強く抵抗されたら、どうしましょう? 実際に困っている家族も多いようです。

親にとっては、地域によって車は生活の必需品。交通事故を起こしたことはないし、運転に自信がある、という人も多いでしょう。

その一方で、車をぶつけやすくなったり、ひやっとした経験をしたりして、「じつは自分でも運転に不安がある」「家族が心配する気持ちもわからないわけではない」と思っている高齢者も少なくないはず。

親が運転しているときに、家族が助手席に座り、運転がおぼつかない様子が見られたときに、運転をやめるように話を切り出すと、スムーズにいくかもしれません。

親に言っても運転をやめてくれないときは、主治医に相談してみるといいでしょう。子どもの意見にはうなずかないことであっても、頼りにしている主治医から運転をやめるようにいわれると、はいわかりました、となることも。

車の代わりになる移動手段の確保も必要です。バスやタクシーなどの割引利用券を配布している地域もあるので、自治体の窓口に相談してみましょう。

家族が運転して本人に乗ってもらう、近所の人の車に本人を乗せてもらうなど、移動手段の代替方法を検討しましょう。



※この記事は『親の認知症に気づいたら読む本』杉山孝博(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。
※2022年11月8日に配信した記事を再編集しています。

★あわせて読みたい★

【親の認知症に気づいたら】親の収入より支出が多かった場合はどうしたらいい? 認知症の初期。親は何を思っている?家族の心がまえを医師が解説 認知症は「本人のペースに合わせることは難しい」 だから、完璧を目指さないで!
監修者

川崎幸クリニック院長

杉山孝博

川崎幸クリニック院長。1947年愛知県生まれ。東京大学医学部附属病院で内科研修後、地域医療に取り組むため、川崎幸病院(神奈川県川崎市)に勤務。1981年より「公益社団法人認知症の人と家族の会(旧・呆け老人をかかえる家族の会)・神奈川県支部」の活動に参加、現在、同会副代表理事、神奈川県支部代表。往診・訪問看護を中心にした在宅ケアに取り組み、「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」「上手な介護の12カ条」を考案、普及。公益社団法人日本認知症グループホーム協会顧問や、公益財団法人さわやか福祉財団評議員、厚生労働省関係委員としても活躍中。主な著書・監修書に『よくわかる認知症ケア』(主婦の友社)、『認知症の人のつらい気持ちがわかる本』(講談社)、『認知症サポート』(学研)など多数。

川崎幸クリニック院長。1947年愛知県生まれ。東京大学医学部附属病院で内科研修後、地域医療に取り組むため、川崎幸病院(神奈川県川崎市)に勤務。1981年より「公益社団法人認知症の人と家族の会(旧・呆け老人をかかえる家族の会)・神奈川県支部」の活動に参加、現在、同会副代表理事、神奈川県支部代表。往診・訪問看護を中心にした在宅ケアに取り組み、「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」「上手な介護の12カ条」を考案、普及。公益社団法人日本認知症グループホーム協会顧問や、公益財団法人さわやか福祉財団評議員、厚生労働省関係委員としても活躍中。主な著書・監修書に『よくわかる認知症ケア』(主婦の友社)、『認知症の人のつらい気持ちがわかる本』(講談社)、『認知症サポート』(学研)など多数。

親の認知症に気づいたら読む本

杉山孝博監修
主婦の友社刊

認知症になった親の心の内が理解できるから、自然に寄り添うことができる。子どもが知っておくべきこと、すべきことがわかります。

※「詳細はこちら」よりAmazonサイトに移動します(PR)

詳細はこちら
この記事の執筆者

PICK UP 編集部ピックアップ