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【らんまん】「時が来ましたか」と嬉しさをダダ漏れさせた文太(池内万作)の笑顔がとびきりキュートだった

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田幸和歌子

また、万太郎の天才性を最も近くで見ている2年生たち(前原滉、前原瑞樹)は、万太郎の常軌を逸した集中力に衝撃を受けながらも、そこで心折れることなく、「器をパンパンにする」ことが生きることではないかと、自分なりの道を求めて前を向く。「天才」を自分とは別世界の人と分断させず、諦めず、自身を奮い立たせようとする彼らの心の持ちようこそが、私達多くの視聴者の理想像ではないか。

そして、今週見事なコメディエンヌぶりを発揮したのが、万太郎の真っ黒に汚れた顔をこき下ろしていたのに、上品な洋装姿になった瞬間に一目惚れし、求愛されたと勘違いする大畑家の娘・佳代(田村芽実)。田村といえば、もともと歴代ハロプロ出身者の中でも歌唱力担当として知られ、舞台を中心に活躍している人だが、まさか朝ドラの短期のゲスト出演で笑いと愛嬌たっぷりの愛らしさで視聴者を魅了してしまうとは。

そして、高藤にダンスを政治利用されていたことを知り、毅然とした態度で抗議するクララも、寿恵子にフラれた理由を理解できずに茫然とする高藤に、「男と女が対等とおっしゃるけれど、あなたはすぐそばにいる女さえ目に入っていない」「どうぞお好きなだけお仲間と踊ってらしたら?」と笑顔でトドメをさす弥江も、みんな清々しく美しい。女性たちの凛々しさ、強さ、連帯が光る週だ。

そんな中、とびきりキュートだったのは、白梅堂にやって来た大畑に万太郎の釣書を渡され、「時が来ましたか……」と呟き、「よくぞいらっしゃいました。さあ、中へどうぞ!」と普段の寡黙さから打って変わって、嬉しさをダダ漏れさせてしまった文太(池内万作)。

主菜も副菜も、隅々まで味わい尽くしたい至高の週だった。

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