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【らんまん】変わらない万太郎と、変わりゆく周りの人々。幸せな連鎖を突然断ち切る残酷な交代劇が切ない

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田幸和歌子

そして、聡子に背中を押された田邊は、自身の原点に立ち返る。海外で学ぶために国も利用しようとした逞しい探究心こそが、田邊の恩人・森が田邊を高く評価した点だった。

ようやく自身が背負ってきた様々な職務や重責から解放された田邊は、久しぶりに学生たちと共に夏の植物採集旅行へ出かけ、そこで新種かもしれない花と出会う。田邊が生き生き研究する姿は、植物学教室全体を活気づかせ、教室が初めて一つのチームとしてまとまっていく。

そこから田邊は、今後は欧米の学者に頼らず、日本人自らが植物に学名を与え発表すると宣言。これは、西洋の植物学者たちと日本の学者が対等になる大きな転機であり、植物学を日本に持ち込んだのと同様、始祖・田邊がもたらした大きな功績だった。

しかし、同じ頃、万太郎のもとに虎鉄からある花の植物標本が届く。それは奇しくも、田邊が見つけたものと同じ花だった。

そして、新種と認定するために必要な果実の標本を、田邊はチームの総力戦で先に入手。新種であり、新属でもあると認定したその植物に「キレンゲショウマ」として、祈願の命名を果たす。

先んじられた万太郎は田邊を祝福するが、そんな折、突然田邊が大学から「離職」を言い渡される。そして、次に田邊の座に就くのは、ドイツ留学から戻った徳永(田中哲司)だった。

幸せな連鎖を突然断ち切る残酷な交代劇に、胸騒ぎがしてならない20週だった。

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