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【らんまん】変わらない万太郎と、変わりゆく周りの人々。幸せな連鎖を突然断ち切る残酷な交代劇が切ない

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田幸和歌子

朝ドラを見るのが1日の楽しみの始まりとなっている人、多いですよね。数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。より深く、朝ドラの世界へ!

【らんまん】変わらない万太郎と、変わりゆく周りの人々。幸せな連鎖を突然断ち切る残酷な交代劇が切ない

「らんまん」第100回より(C)NHK

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【第19週のらんまん】出禁にした万太郎に、なおも拘泥し続ける田邊(要潤)の孤独の行方が気になる

長田育恵作・神木隆之介主演のNHK連続テレビ小説『らんまん』の第20週「キレンゲショウマ」が放送された。 

今週は「変わらない」万太郎(神木)と、周辺の「変わりゆく人々」、そこから植物が枝葉を広げ、花を咲かせ、果実をつけるかのように連鎖する様々な変化が描かれた。

万太郎(神木) は虎鉄(寺田心)との出会いにより、植物愛好家たちと交流を広げていく。研究に没頭するのも、そのために借金するのも相変わらず。しかし、その大きな欠点を補う中で寿恵子(浜辺美波)の交渉力や人たらし力が覚醒。コワモテ借金とり相手に臆することなく、逆に追加資金を出させるまでに成長していく。

また、長屋から“卒業”、旅立つ人々がいれば、アメリカから帰国して長屋を訪れた旧友の佑一郎(中村蒼)との再会もあった。

仕事が順調な佑一郎を万太郎はすごいと言うが、佑一郎はアメリカで人種差別を目の当たりにしてきたと語り、草花に優劣をつけない万太郎がすごいのだと諭す。そして「この先もずっと変わりなよ」と言う。

そんな佑一郎について子どもに聞かれ、「偉い人」「すごい人」などの身分や立場ではなく、万太郎の大事な友達だと答える寿恵子もまた、優劣をつけない女性だ。だからこそ、学校を出ていない自身を卑下することもなく、田邊(要潤)の妻・聡子(中田青渚)とも対等に友達になれたのだろう。

そして、寿恵子の影響を受けた聡子もまた、変わって行く。

恩人の森有礼(橋本さとし)が暗殺されたことを機に、女学校が廃止されるなど、失意の田邊に、ようやく自分のことに打ち込めると励ます聡子。そして、田邊が愛するシダになぞらえ、「地上の植物たちの始祖にして永遠」(植物学を学ぶ人が)今は続く人たちがいます。あなたが始めたんです」と背中を押す。

そんな母の強さは、幼い子どもたちにも伝播していく。「お父様はとてもお強いお方です。それでもそういうお父様をお守りできるのは、お母様(自分)とあなた方だけなの」と言う母に「父様をお守りします」と応える子どもたち。弱く小さな者たちの強い覚悟は、さらに聡子に勇気を与えたのだろう。

田邊家を囲む野次馬たちに対応しようとする女中を手で軽く制止し、門扉を開けて笑顔で「皆さま、ごきげんよう。何か御用でございますか」と問う気丈な美しさ。

かつては女学生あがりで、女中に雑な扱いをされていた聡子は、田邊に従う妻から、田邊を守る妻に変わっていき、女中にも信頼される存在になっていたのだ。

聡子編のみを切り出しても1本作品ができそうな物語を、変化の連鎖の一つに組み込む本作の贅沢さ。

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