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54歳おひとりさま生活を満喫しながら、同じ団地で別居する母親を介護する・きんのさん。「ケンカは毎日。でもそれでいいんです」

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きんの

ケンカは毎日のよう。でもそれでいいんです

親の世話をするために近くに引っ越したというと、仲のよい孝行娘のように思われますが、全然違います。子どものころから気の合わない親子でした。価値観の違いから衝突することが多く、最近は認知機能の衰えもあってさらに悪化。口ゲンカは日常茶飯事です。

お互いに遠慮なく好き勝手を言い合い、「もう知らない」とケンカ別れになることもしばしば。そんなとき、別居を選んで本当によかったと思います。ひとりになって気持ちが落ち着くと、「言いすぎた」「そういう考えもあるのか」と歩み寄ることができ、やがて少しずつ親のことを理解できるようになりました。

「ケンカするほど仲がいい」と言いますが、本音で話せるからこそ仲が深まるのだと思います。対等な立場で意見を言い合えるうちは、ケンカも悪くない気がしています。

仕事から帰ると、母はほぼ寝ています。最近、母の家の玄関に包みが置かれていて、開けると和菓子が。「一緒に食べよう」と震えた文字で書かれたメモがあり、帰りを待ってくれていたのだと思うと、嬉しい気持ちがあふれました。美味しいものがあると、自分の分まで子に与える母でした。認知機能が落ちたころからそれがなくなり寂しかったけれど、本質は変わっていなかった。

お金は使えば減る。なくなったらおしまい。愛情も減る。減ったように見えることもある。でもゼロにはならないのかな。

撮影/山田耕司

※この記事は『54歳おひとりさま。古い団地で見つけた私らしい暮らし』きんの著(扶桑社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。

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54歳おひとりさま。古い団地で見つけた私らしい暮らし

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49歳の時、80代の母の介護をきっかけに、新築で購入した都内のマンションから築50年越えの団地に引っ越したきんのさん。母の介護をしながら、自身も老後のために少し早めの老い支度を始めました。
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