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54歳おひとりさま生活を満喫しながら、同じ団地で別居する母親を介護する・きんのさん。「ケンカは毎日。でもそれでいいんです」

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きんの

都内の新築マンションから築50年の団地に引っ越し、工夫しながら自分らしく暮らすブロガー・きんのさん。話題の新刊『54歳おひとりさま。古い団地で見つけた私らしい暮らし』から、同じ団地で別居する母親との付き合い方、介護の様子をご紹介しましょう。

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54歳おひとりさま・きんのさん。築50年の団地暮らしを楽しみながら、月12万円生活で老後に備える。美味しいお取り寄せ方法も

「味噌汁の冷めない距離」で毎日見守り

介護といっても大したことはしていません。毎朝、自分の朝食作りのついでに母の分も用意。好きなものしか食べない母にタンパク質やビタミンを摂ってほしくて、大豆製品やプロテイン入りの飲み物、野菜たっぷりの味噌汁などを運んでいます。

そのついでに片付け、朝の薬の準備、ゴミ出しや郵便チェックをして、今日の予定をメモして渡します。3食は作れないので、母の昼食と夕食はパンやフルーツなどの偏った食事に。せめて朝だけでもと、栄養のあるものを作っています。

仕事が終わったら、また母の家に立ち寄って安否確認。高齢者の多い団地では、たびたび行方不明者の放送がスピーカーから流れるので、「もしかして」と心配なんです。帰るのが遅いときも多いので母はほぼ眠っていますが、スースー寝息を立てている姿を見ると一安心。母が起きていたら雑談や部屋の片付けをして帰ります。毎日のことなので長居はせず、ササっと引き上げています。

休日は普段はできない掃除や片付けをしたり、朝6時から団地近くの公園でやっている太極拳に一緒に参加したりと母をサポートしつつ、自分も楽しんでいます。ただ、これまでは見守りと困りごとの手助けが中心でしたが、年々できなくなることが増えてきて、この先どうなるかと少し不安も。

同居ではなく近くで別居という選択は、長年ひとり暮らしを続けてきた親子にとってちょうどいい。味噌汁の冷めない距離が、お互い自分の時間も確保できてベストだったと思います。

母と一緒だから、広がる世界

人懐っこく社交的な母には団地仲間がいっぱい。引っ越した当初から「〇〇さんの娘」として可愛がってもらっています。団地のイベントや、母の日課である公園での早朝太極拳に私もときどき参加しているので、知り合いも増えました。澄んだ空気の中で行う太極拳は気持ちよく、私も老後は太極拳を日課にしようと思っています。

母とは、いつもは口ゲンカばかりなのに、趣味の話をしているときだけは盛り上がります。母も着物好きで、以前は2人で着物を着て出かけることもありました。「この着物にはどの帯を合わせようか」「帯留め素敵!」など、年齢を超えた女子トークも炸裂し、親子の距離も縮まった気がします。今は2人で着物を眺めるだけ。それでも着物に触れることが楽しいようです。

植物を育てることが脳にもよいと聞き、団地の土地を無料で借りられる制度に申し込みました。もともと土いじりが好きな母。毎日の水やりが日課になり、「今年はチューリップがきれいに咲いたね」とのんきにおしゃべりができるのも、この団地に引っ越したからこそ。

母がいたから団地に引っ越し、一緒に趣味を楽しみ、介護という未知の世界に飛び込めたのかも。人生なにが幸いするかわかりませんね。

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