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団地でひとり暮らし、多良美智子さん89歳 お金をかけずに、豊かに暮らすコツは?

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大橋史子(ペンギン企画室)

高齢でも一人暮らしになっても、住みなれた家で過ごしたいと考える人は多いと思います。89歳の多良美智子さんは、ずっと暮らしている団地で一人暮らし。孫と始めたYouTubeチャンネル「Earthおばあちゃんねる」の撮影をしたり、高齢者コミュニティや市民センターで習い事や趣味の会に参加したり、家で針仕事や読書をしたりとマイペースな毎日を送っています。気になるお金のことを、多良さんにうかがいました。

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89歳 多良美智子さんの健康の秘訣は栄養満点の朝食。8種類の食材が入ったスムージーとは?

Profile
多良美智子さん
(たら・みちこ)昭和9年(1934年)長崎県生まれ。8人きょうだいの7番目。27歳で結婚し、神奈川県の現在の団地に引越しをする。夫と子ども3人の5人家族でしたが、子どもたちは独立し、夫は9年前に他界。2020年に孫と始めたYouTubeチャンネル「Earthおばあちゃんねる」は登録者数16万人をこえる。著書は『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』『88歳ひとり暮らしの 元気をつくる台所』(共にすばる舎)。

ずっと団地暮らし。節約しながら、楽しいことにはお金を使う

今の団地に住んで、50年以上経ちました。ずっと賃貸ですが、家が欲しいと思ったことはありません。夫は「家を建てようか」と言ってくれましたが、「ここがいいの」と答えました。昭和の時代は、「マイホームを持って一人前」という風潮がありましたので、「我が家はちょっと変わっていたのかもしれません」と多良さん。

実家が商売をしていたので、浮き沈みがありました。だから、「あるお金でやっていく」という気持ちが強く、住宅ローンの返済に追われることが嫌でした。お金を使うなら、子どもの教育費に、そして、家族でおいしいものを食べるなど楽しいことにと、思ってきたそうです。

「夫は普通のサラリーマンだったから、贅沢はできませんでした。節約はしましたが、そればかりでは息が詰まるので、たまにはおいしいものを食べたり、旅行にも行きました。大好きなおしゃれや習い事も、メリハリをつけて費用を捻出しましたよ」

団地のリビングでくつろぐ多良さん。狭くて古いけれど、自分の好きなインテリアにしているので、愛着があります

夫と二人暮らしの時から、1人分の年金で暮らして来ました。夫が9歳年上だったから、いずれは自分が1人残されることを覚悟していたそう。今も節約をしながら、メリハリをつけて暮らしています。

家計簿は60年以上。記録すればお金の不安は解消される

お勤めをしていた20代の頃、一人暮らしをしていました。しっかり者の友人が、家計簿の付け方を教えてくれたのです。以来、60年以上、ずっと家計簿をつけています。

「私が頼りなく見えたのか、友人が料理や家計簿の付け方など、暮らしの基本をみっちり仕込んでくれました(笑)。その後、家計簿は自分で改良を重ね、結婚してからルーズリーフ方式に。用紙に自分で線を引いて、記入しています」

費目は細かく分けずに、食費、雑費、会費、特別費、引き落としに。最近は、子ども達家族が来た時に買う食材のための接待費を設け、費目は全部で6つです。ポイントは、買い物をしたら、その日のうちに記入すること。時間が経つと、忘れてしまうことがあるからです。

時々見返して、「今月は使いすぎているな」とか「今月はまだ使えるな」と確認します。お金の不安は、「あといくら使えるの?」とか「何にいくら使っているかわからない」と把握できないこと。家計簿はお金の現状がわかるので、不安がなくなります。

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