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団地でひとり暮らし、多良美智子さん89歳 お金をかけずに、豊かに暮らすコツは?

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大橋史子(ペンギン企画室)

夫のお葬式は、自宅で家族葬にしました。以前、新聞に家族葬の記事が載っていて、それをとっておいたのです。葬儀屋さんに相談したら色々なオプションがついて、考えていたものよりも豪華なプランを提案されました。

そうしたら、子ども達が「家が狭くて祭壇は置けない」「花と写真は自分たちで用意する」「お通夜もうちでやるからいらない」と、色々削ってくれて、結果的には22万円に。多良さんと子ども達家族の、完全な家族葬だったので、夫の思い出話をしながら賑やかに送ることができました。

九州の住んでいる、夫の兄弟や多良さんの姉妹は、あえて呼びませんでした。みんな高齢で、飛行機に乗って来てもらうのも大変です。もう少し若ければ違う方法をとったかもしれませんが、今はこれで良かったと思っています。

お友達に「お葬式は22万円だったのよ」と言うと、びっくりされます。多良さんも夫の時と同じように、お金をかけずに家族だけでひっそりと見送って欲しいそうです。

最近、YouTubeの自撮りにも挑戦。新しいことへの好奇心は衰えません。

ストレスを溜めない。できなくなったことにクヨクヨしない

日々は、年金の範囲内で生活していますが、89歳の今は「お金は残さずに使おう」と思うようになりました。死んでから感謝されるよりも、今「ありがとう」と言われたい。残すのは、葬式代だけにしようと考えています。

「趣味の会に参加したとき、近くの障害者施設の方々がパンを売りにきます。お弁当を持って行っていたけどお休みにし、そのパンを買うようになりました。少しでもお役に立てたらいいなと思って始めたけど、おいしくてファンになっちゃった」

他にも、子ども達家族が来たときに、ちょっといい食材を買ったり、外食に行ったりなどは、多良さんが貯金から出しています。

「周りの人を喜ばせたいと思っているけど、結果的には自分も楽しんでいます。そんなお金の使い方がいいですね」

撮影/林ひろし

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87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし

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すばる舎刊

87歳の今も、50年以上住む古い団地で、ひとり暮らしを続ける美智子さん。長年かけて、居心地良く整えてきた部屋で、「最期まで過ごしたい」。
そのために、健康には気を遣い、毎朝6時からラジオ体操。朝食はプロテインやおから、アマニ油などが入った栄養満点スムージー。料理は簡単でも、お気に入りの器に盛って楽しむ。ウォーキングで摘んだ草花を窓辺に飾って。読書や裁縫、映画鑑賞…ひとりでできる趣味がたくさん。
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