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【色の名前クイズ】どっちが「新橋色(しんばしいろ)」?

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マチュアリスト編集部

新橋色は【A】

江戸が東京になり、明治新政府の政治家や官員、新興実業家たちが利用する待合いや料亭が集まって、にわかに繁盛するようになったのが今の新橋界隈でした。江戸の伝統を残す、柳橋をはじめとする古い花柳界とは違う雰囲気がそこに発生したとしても不思議ではありません。新橋芸者も新時代に敏感な新しいタイプの芸者だったようです。

その姐さんたちが、明治中頃から出現した化学染料の鮮やかな青緑色を積極的に着物にとりいれ始めたのが、当時の世間には非常に新鮮な感覚に思えたにちがいありません。そこで新橋芸者好みの色というので、その色に新橋色という名前がつけられました。

また、芸者の置屋が今も銀座裏に名前が残っている金春(こんぱる)新道にあったところから、彼女たちは金春芸者ともいわれていたので金春色という別名もあります。

なお、新橋色は、日本産業規格(JIS)「物体色の色名」で定められた「慣用色名」269色のうちの1色です。

それでは【B】は何色?

【B】は海松色(みるいろ)

磯の干潮線より下に着生する海藻の名前で、主に食用に採取されたのが海松(みる)。「万葉集」にも海松の名前を詠みこんだ歌があり、この時代から海辺の人々が海松をとって暮らしていたことがわかります。

その後も、この海藻の名前はたびたび和歌の中に登場していますが、「みるめ」「みるな」「みるぶさ」などの名前でも呼ばれています。このように多くの人に身近な海藻だから、古くからこの色のような染色の色名として用いられてきました。

重ねの色目(平安時代の宮中装束の配色)にも海松の名称がありますが、その色目には諸説があって、どれが本当の海松なのか確定できません。

海松の色名は近世の江戸時代になって、たいへん愛好されるようになり、海松茶をはじめいくつもの変種が生まれています。

なお、海松色も、日本産業規格(JIS)「物体色の色名」で定められた「慣用色名」269色のうちの1色です。

※この記事は『増補改訂版 色の名前事典519』(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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監修者

一般財団法人

日本色彩研究所

日本で唯一の色彩に関する総合研究機関。1927年画家・故和田三造氏により日本標準色協会として創立。1945年財団法人日本色彩研究所として改組。1954年、世界に先駆けて「修正マンセル色票」の色票化研究に着手し、諸外国の研究機関に寄贈するなど、長年にわたり先端的な研究を続ける。諸省庁、自治体からの要請への対処、JISの制定や関連色票の作成等への参画、ガイドラインの提案などに携わる。

日本で唯一の色彩に関する総合研究機関。1927年画家・故和田三造氏により日本標準色協会として創立。1945年財団法人日本色彩研究所として改組。1954年、世界に先駆けて「修正マンセル色票」の色票化研究に着手し、諸外国の研究機関に寄贈するなど、長年にわたり先端的な研究を続ける。諸省庁、自治体からの要請への対処、JISの制定や関連色票の作成等への参画、ガイドラインの提案などに携わる。

増補改訂版 色の名前事典519

日本色彩研究所監修
福田邦夫著

日本における色彩研究の第一人者である「色の巨人」福田邦夫氏の色名事典のバイブル最新刊。福田氏ご逝去(2013年)の後、氏が深く関わった日本色彩研究所の監修協力を得て全面改訂。前作『新版 色の名前507』に12色を加えて519色に。JIS(日本産業規格)の269色を含む全色の正確な色見本にマンセル値、RGB、CMYKのデータを網羅。また、国内外の多くの文献をもとに色名から広がる色の世界が語られている。内容の信頼性の高さに加え、風趣に富む文章で色彩文化の読み物としても楽しめる。本改訂では平安時代からはじまる雅な「かさねの色目」79色をプラス。色値もすべて再確認し適宜修正、文章も現代に合わせて最低限の修正を加えている。色が好きな人、色の仕事に関わる人、すべてに「先人の色彩命名における言葉づかいの妙と、色に対する感性の豊かさを楽しんでいただければ幸いである」という福田氏の思いが伝わる決定版。

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