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料理研究家・枝元なほみさん「子どもたちに安心してご飯を食べられる未来を渡したい」【後編】

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ゆうゆう編集部

若い人によい土や食物を残したい

フードロスにも強い危機感をもっている。

「世界には全人口を賄うだけの食料があるのに、食料生産量の三分の一は捨てられて、9人に1人は飢えに苦しんでいるなんて変ですよね」

まだ食べられるものを廃棄したくないという思いから始めたのが、「夜のパン屋さん」だ。

「夜のパン屋さんをやっている母体は、『ビッグイシュー』なんです」

ビッグイシューは、ホームレス状態にある人や、生活困窮者に路上で「雑誌販売」という仕事をしてもらい、売り上げの半分以上を収入としてもらうことで自立を援助する、という活動を行っている組織だ。

「このシステムはいいなぁと、ずっと魅力を感じていたので、ビッグイシューのインタビューを受けたときに『私にも何かやらせてください』と言ったんです。それで『ホームレス人生相談』のページに『悩みに効く料理』を連載することになって……これ、ホームレスの人が読者の悩みに、限りなく下から目線で答える人気企画なんですよ」

枝元さんはビッグイシューの活動を続ける中で、ある篤志家のビッグイシューへの寄付をもとに「夜のパン屋さん」という活動を仲間とともに実現させた。パン屋さんで余ってしまいそうなパンを預かって販売するという、仕事づくりを考えたもの。

「販売する人の自立支援とフードロスの削減にもつながっています」

現在は、東京・神楽坂のかもめブックス軒下で毎週3回、その他、大手町や田町などで移動販売車で販売している。

「私がやっているのは、雨に濡れた布の洗濯など、もっぱら見えないところのフォローかな。ときどき、女将な感じで、どうしているかなと顔を出したり」

コロナ禍でアルバイトがなくなり、収入源を失った若者たちも、夜のパン屋さんに参加している。

「ひとつひとつは小さなことかもしれないけれど、子どもたちに安心してご飯を食べられる未来を渡せるように、キッチンの窓を開けて社会とつながりたい。人を大事にする世の中に変えていきたいです。だからといって、それを押しつける気はなくて。こっちのほうがいいと思うよって、おすすめするスタンス」

枝元さんの社会的活動「ビッグイシュー」と「夜のパン屋さん」

イギリス発祥の『ビッグイシュー』の日本版は2003年創刊。顔写真とナンバー入りのIDカードを交付されたホームレスの販売者が通行人などに販売する。社会的に弱い立場にある人々の社会問題や地域づくり、国内外のアーティストのインタビューの記事も。フードロスを減らし、販売者の自立を助ける夜のパン屋さんもビッグイシューの寄付から生まれた。いずれも詳細はビッグイシューホームページで。https://www.bigissue.jp/

『クッキングと人生相談 悩みこそ究極のスパイス』(ビッグイシュー日本)。

月に2回発行される『ビッグイシュー』。

大学在学中に劇団の手伝いをしたのがきっかけで、卒業後は別の劇団に入った。同時に無国籍レストランでも働き始めたが、後に雑誌編集者となったバイト仲間から、レシピを作る仕事を頼まれ、いつしか料理研究家と呼ばれるようになっていた。

「芝居も、アルバイトも、料理の仕事も、全部、偶然、誘われて始めたことなんです。だからいつも、できないことやわからないことだらけで、どうすればできるんだろうと試行錯誤してばかり。正解を習っていないから、無駄なことも遠回りもいっぱいしたし、失敗も数え切れません。でもその時々に楽しさを見いだして面白がって、それで今につながったのかなと思うと……結構、しぶといかも、私」

※この記事は「ゆうゆう」2022年1月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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