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佐藤浩市さんが62歳の今、思うこと。「保守的にならず、自分の引き出しにない新しいものに取り組み続けたい」

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ゆうゆう編集部

圧倒的な存在感と演技力で日本映画界を牽引する俳優・佐藤浩市さん。最新主演映画『春に散る』では、命を燃やして新たな人生に挑む元ボクサー役を演じています。作品の見どころから映画界に抱く熱い想い、自身のこれからまでをたっぷりと語っていただきました。

原作をうまく具現化しつつ、プラスアルファの要素も

シックな黒のスーツ&ハットに純白の髪が映える。カメラを見つめる鋭い眼差しに指先まで色気あふれる仕草、佐藤浩市さんがまとうのはしびれるようなダンディズム。そうかと思えばときおり冗談を飛ばし、場を和ませてくれる一面も。決して居丈高にならない軽やかさもまた、大きな魅力のひとつだろう。

そんな佐藤さんの最新主演映画『春に散る』が8月25日に公開となる。沢木耕太郎の名作小説を、数多くの感動作を世に送り出してきた瀬々敬久監督が映像化。ボクシングを通して世代の異なる男たちがぶつかり合い、懸命にもがく姿を描いたヒューマンドラマだ。

「最初に原作を拝読した感想は、悪い意味じゃなくて『沢木さんらしいな』。原作ファンもいらっしゃるわけだから、原作に忠実に三次元化しながら、プラスアルファで作品の魅力を伝えられればと思いました」

佐藤さんが演じたのは、アメリカから40年ぶりに帰国した元ボクサー・広岡仁一。不公平な判定で負けて引退したという過去をもつ。

「僕は仁一をいい意味での負け犬にしたかった。負け犬としてのエクスキューズ(=言い訳)を抱えながら生き、日本に帰ってきたけれど、本当はそうありたくない、それで死にたくはないという自分も抱えている男だと思います」

仁一は飲み屋で偶然、同じように不公平な判定で負け、ボクシングをやめてしまった黒木翔吾と出会う。翔吾からボクシングを教えてほしいと懇願された仁一が、翔吾とともに新たな人生に挑み始めるストーリー。もう一人の主役・翔吾役には、数多いる若手俳優の中でもひときわ異彩を放つ横浜流星さん。

「流星とは初共演。一緒に演じてみて、真面目だなと感じました。彼自身、子どもの頃から空手をやっていた人間だから、映画の中の役柄という以上にボクシングを自分のものにしたい、偽物だと思われたくないという本気度がひしひしと伝わってきたし、どううまく具現化するかをともに模索したよいパートナーでもあったし。作品を成立させることに対する意識やモチベーションが同じだったんじゃないかな」

佐藤さんも驚嘆した横浜さんの本気度は、映画公開を控えた6月に発表された、「横浜さんがボクシングのプロテストに合格」というニュースで証明された。それは一朝一夕にできるものではない。

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