私らしく生きる 50代からのマチュア世代に

人気記事ランキング 連載・特集

50代からでも間に合う!年金額を増やす方法【前編】井戸美枝さんのアドバイス

公開日

更新日

横田頼子

若いころは、年金に関心をもったことがなかったけど、マチュア世代になって、年金のことが気になり始めたという方。届いた「ねんきん定期便」を見ると、思ったより少ない! 老後が不安になってきた、という方も少なくないはず。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんに、年金の額を増やす方法について教えていただきましょう。

前回の記事はこちら

私の年金はいくらもらえる? 国民年金に未納期間がある場合はどうしたらいい? 井戸美枝さんのアドバイス

【マチュア世代Aさんの悩み】
いま50代。パートで夫の扶養控除内(厚生保険未加入)で働いてきましたが、将来の年金が月5万円しかなく、とても不安です。
増やす方法はありますか。

【井戸美枝さんのアドバイス】
厚生年金に入って、将来の年金を増やしましょう。
パートでも厚生年金に加入できる条件が拡大中です。

厚生年金に入って働けば、確実に年金額はアップ

50代からでも、2つの方法で年金を増やすことができます。

一つは、厚生年金に加入して働くことです。パートでも、以下の条件にあてはまれば、厚生年金に入れます。
① 1週間に20時間以上働いている
② 月額賃金が8万8000円以上
③ 2カ月以上雇用の見込みがある
④ 学生ではない
⑤ フルタイムの従業員が常時101人以上いる会社で働いていて、その会社で2カ月以上働くことが見込まれる

このうち、⑤については、2024年10月から「フルタイム従業員が常時51人以上」に緩和されますから、今後はますますパートの人でも厚生年金に入りやすくなるでしょう。

厚生年金に入れば、将来受けとる年金を確実に増やせます。たとえば、パート収入が月8万8000円の人が厚生年金に加入した場合、10年間で年金額は5万8000円、20年間では、11万6000円アップ。厚生年金は原則として70歳まで加入できますから、長く働くほど受け取れる年金は多くなります。

民間にもさまざまな年金保険がありますが、生きている限り受け取れるのは公的年金だけ。60歳以降も元気なうちは働いて年金を増やしておけば、平均寿命が長い女性には強い味方になるはずです。

厚生年金加入のメリットは、思いのほか大きい!

夫の扶養控除内で働いていると、年収が130万円未満なら、年金保険料を支払わなくても老齢基礎年金は受け取れます。そのため、厚生年金に入って年金保険料を負担すると、手取り収入が減って損をした気がするかもしれません。でも、扶養控除内で働いている限り、将来の年金を増やすことはできません。

しかも、注意しなくてはいけないのは、配偶者による扶養は、ずっと続くわけではないこと。夫が退職などで第2号被保険者でなくなったとき、扶養(第3号被保険者)から外れるからです。そうなると、60歳になるまでは、自分で国民年金保険料を支払わなければなりません。国民年金保険料は、月1万6470円(令和5年度)です。

その際、厚生年金に加入して働いていれば、厚生年金保険料は勤務先が折半してくれるため、自分で国民年金保険料を全額支払う必要がありません。パート収入が月額8万8000円の人の場合、自分で支払う厚生年金保険料は月額8000円(年間9万6000円)と、国民年金保険料を支払うより負担が軽くなります。将来受け取る年金も増えるのですから、入らない手はないですよね。

また、国民年金保険料の未納期間がある人は、60歳以降も65歳まで任意で保険料を追納すれば年金を増やすことができます(前回の記事参照)。その場合も、厚生年金に入っていれば、保険料を全額自分で納めなくてすみます。

厚生年金に加入すれば、健康保険にも加入できますから、病気やケガなどで仕事を4日以上休んだときに、傷病手当金が最長1年半でるなどのメリットも加わります。また、万が一障害がある状態になった場合、国民年金より手厚い保障が受けられます。

子育てが終わったあとは、外に出て働く時間がとりやすくなり、収入を増やすチャンス!扶養の壁にこだわらず、収入を増やして老後資金を貯めつつ、厚生年金に入って老後資金も増やしていきましょう。

PICK UP 編集部ピックアップ