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ナイツ・塙 宣之さんのエッセイ「ちょっと変なおじいさん、義父の静夫さんをテーマに書きました」

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ゆうゆう編集部

お笑いコンビ「ナイツ」の塙 宣之さんの最新エッセイ『静夫さんと僕』。本書では、個性あふれる義父・静夫さんとの二世帯暮らしが、ユーモラスに綴られています。

『静夫さんと僕』
塙 宣之著

個性あふれる義父・静夫さんとの、ちょっとおかしな二世帯暮らしを綴ったエッセイ。周囲に不思議と愛される変なおじいさんの生態に笑い泣き。

徳間書店 1760円

親への恩返しのつもりで二世帯暮らしを決断

娘の夫である義理の息子を、「のぶたん」と呼び、「ギギギギ」と満面の笑みをたたえる。いつも自室に敷きっぱなしの布団の上でご飯を食べ、大嫌いな注射をされるとわかると部屋に籠城する……。

この一風変わった77歳のおじいさん、名を静夫さんという。お笑いコンビ「ナイツ」で活躍する塙宣之さんの妻のお父さんだ。実は塙さん、妻と3人の娘とともに、義父の静夫さん・義母のやす子さんと二世帯住宅で暮らしている。

「2014年に長女が生まれたのを機に二世帯住宅を建て、一緒に暮らし始めました」

そんな二世帯暮らしの日常を綴ったのが、塙さんのエッセイ『静夫さんと僕』。個性的な義父に振り回され、苦笑いしながらも、静夫さんを見守る塙さんの眼差しはひたすらに優しい。そもそも二世帯暮らしに踏み切ったのも、親たちの老後を考えてのことだった。

「親たちに終の住み処を提供することで恩返ししたいと思いました。でも、僕の母親はとにかくおしゃべりで、僕とはしょっちゅうケンカしています。母は優しいし、もちろん大好きだけど、一緒に住んだらけっこう大変だろうなと思う。それに、うちの親には奥さんも気を使うでしょう。

子育ても家事もほとんど奥さんがやってくれているから、奥さんにはいつも一番いい状態でいてもらいたいんです。と考えると、うちの両親じゃなくて奥さんの両親と一緒に住むのがいいだろうと思ったんです」

以来、二世帯暮らしは9年に。「めちゃくちゃ円満ですよ」と胸を張る。冒頭のような予測不能な言動を繰り返す静夫さんだが、ケンカをしたことは一度もないという。

「そもそもケンカになるほどしゃべらないから(笑)。二世帯住宅といっても玄関が同じだけで、生活サイクルも全然違います。静夫さんは自分のやりたいことをやっていて、僕はそれをこっそり観察しているという感じです。お互いにあまり関与しないことが円満の秘訣じゃないですかね」

平和な二世帯暮らしは奥さんのおかげかもしれない、とも言う。

「うちの奥さんは全然怒らないし、『こんなにいい人はいない』っていう感じの人なんです。結婚するとき、奥さんの友達から言われましたもん。『なんでアンタなんかが! やす美(奥さん仮名)は私のものなんだから!』って(笑)。みんなに好かれる本当によくできた人だから、僕も奥さんに対してイライラしたり怒ったりすることがまったくない。それは自分でも超ラッキーだと思っています。そんな奥さんだから、僕はしょっちゅう『ありがとう』と伝えていますよ。他の人には絶対言いたくないけれど、奥さんだけには言います(笑)」

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