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【らんまん】カラー化した震災当時の映像が差し込まれる、緊迫感ある描写。NHKの技術力を見た

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田幸和歌子

長屋に戻った万太郎は、そこで虎鉄と再会。焼け跡からツチトリモチの石版の欠片と、寿恵子の大事な『八犬伝』、亡き娘・園子のヒメスミレの絵を見つけ、胴乱に入れる。

完成していた図鑑の原稿も40年集めてきた標本も震災で失い、絶望的状況に陥った万太郎を勇気づけたのは、こんな中でも咲いているムラサキカタバミの花だった。

また図鑑執筆と標本集めを始めようとする万太郎の姿に、寿恵子はある決断をする。それは、渋谷の店を売り、そのお金を元手に万太郎が静かに研究に打ち込める場所を手に入れること。そして、大泉村の土地を買い、新たな生活を始める。

万太郎を信じ、その大願を叶えることを自身の大願にもする寿恵子は、強く逞しく、頼もしい。その一方で、どんな状況でも寿恵子が信じてくれることで、万太郎は諦めることも投げ出すこともできず、しんどさもあるのではないかと思っていた。

しかし、万太郎は言う。「生きちゅう植物を見てたらほんまに嬉しゅうなったがじゃ」「誰かに渡していきたい」と。

どんなに辛い大変な状況でも、いつでも明るい方、光の差す方を向く万太郎こそが、寿恵子にとっての守りたい植物の精なのかもしれない。

いよいよ残る1週間。二人の、槙野家の大願はいかに果たされるのか、その他の人々の花の咲かせ方にも注目したい。

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