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内野聖陽さんが50代半ばになって思うこと。「若い頃はただがむしゃらだった。 今は力みがとれてきたかも」

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ゆうゆう編集部

シリアスからコメディまで、振り幅の広い役柄をしなやかに演じ分け、出演作が常に話題となる内野聖陽さん。変わり者の研究者を演じた最新主演映画『春画先生』について語るその言葉には、役に命を吹き込む俳優としての矜持があふれていた。

不器用さがかわいい “春画先生”を演じました

どんな役どころでも、登場するだけで作品がピリッと引き締まる。唯一無二の存在感と説得力のある演技力で、映画にドラマに舞台にと幅広く活躍を続けている内野聖陽さん。ドラマや映画版で話題となった「臨場」では組織に迎合しない敏腕検視官役、「きのう何食べた?」では人当たりのよい同性愛者の美容師役など、役柄によってガラリと印象を変えながら、物語の世界へとグイグイ引き込んでくれる。

そんな内野さんが主役を務める映画『春画先生』が10月13日、全国公開となる。タイトルどおり、主題となっているのは“春画”。内野さんは春画を愛してやまない変わり者の研究者“春画先生”を演じている。

「最初に脚本を読んだとき、不安材料に感じる部分がありました。それは春画先生がちょっとM気質であること。自分の中にMの感受性があるのか、果たして自分に演じられるのかと、戸惑いました。でも俳優なんて、監督や演出家にダメ出しを『言って言って、もっと言って〜』と求めるような、いわばMの極みみたいなところがあります(笑)。徐々に自分の中のMっ気もわかってきて、役柄を掘り下げていくことができました」

妻に先立たれ、ひとり春画の研究に没頭する春画先生。そんな“クセ強”の研究者に弟子入りした若き女性・弓子は、春画の奥深い魅力にハマるとともに春画先生への恋心も募らせていく……という異色コメディ。

「年齢差のある男性と女性が春画を通して出会い、奇妙な関係で転がっていくというストーリーが微笑ましいなと感じました。春画先生は、北香那さん演じる弓子のすぐそばで『これはね、これはね』と必死に教えていくうちに距離感がどんどんなくなっていきます。人とのコミュニケーションがそんなに得意じゃないんだろうな、その不器用さがかわいらしいなと思いました」

内野さんといえば、ストイックに役づくりをすることでも知られる。台本と向き合う以外にも労力を惜しまない役柄へのアプローチは、今回もしっかり発揮されたようだ。

「Mっ気を研究するために塩田(明彦)監督からレクチャーを受けたり、本をお借りしたり、さまざまな春画を見たり。監督と一緒に喜多川歌麿のお墓参りにも行きました。春画先生は歌磨的生き方をしている。だから歌磨さんの魂を作品の世界にも春画先生自体にも取り込みたいと思ったんです」

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