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【らんまん】園ちゃんの横顔ぷっくりほっぺは、思わずツンツンしてみたいほどの愛らしさだった

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田幸和歌子

園子を演じていたのは、斎藤羽結さんという子役。『あさイチ』でも博多華丸大吉に名演ぶりを幾度も評価されていたが、今週は特に何度も唸らされた。

落胆した万太郎が帰宅したとき、家の中から漏れ聞こえる寿恵子の笑い声と園子の小さな物音に万太郎も視聴者もどれだけ安堵したことか。縁側で父を待ち、落ち込む父を母が励ます傍らで、ヒメスミレを見つけ、自然に空を見上げる園子は、まるで父と母にまだ潰えていない希望を教えているかのようだった。

母に挟まれ、川の字で眠る園子の横顔ぷっくりほっぺは、思わずツンツンしてみたいほどの愛らしさだった。さらに植物画を描く父に、描いてみるかと聞かれ、うなずき、ちょっぴり笑い、筆を握る様、筆先を興味深げに見守る様。寿恵子と共にテレビの前で「天才だー」と言ってしまった視聴者もいただろう。

父と母が金策の話などをしているときは、少し離れた場所で一人遊んでいるのも、いかにも家の中で仕事をする親の子どもらしいし、その後二人の間に遊びながら入って来る様も実に自然だ。

とまあ、ひたすら園子に感心しきりだったのだが、金曜冒頭、裸足で長屋の路地を一人歩き、駆け、空に向かって笑顔を見せ、手を広げる園子の姿が——。おそらく園子が病から解放され、空に帰って行った美しくも残酷な描写に胸が締め付けられる思いだった。

そして、園子が去った後、長屋では再び子どもたちにせがまれた九兵衛の「寿限無」が響く……。

万太郎の絶体絶命と、園子の死と峰屋の廃業が描かれた18週。しかし、「ヒメスミレ」の花言葉は「ささやかな幸せ」「愛」「誠実」。園子が、峰屋が、万太郎と寿恵子、綾と竹雄に託した「どんなときにも咲く、ささやかな幸せ」という花の行く末がここからいかに描かれるのかに注目したい。

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