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横田頼子

加給年金がもらえるケースは要注意!

繰り下げ受給のもう一つの注意点は、配偶者が「加給年金」が受けとれる場合です。

加給年金とは、厚生年金の加入期間が20年以上ある人が65歳で老齢厚生年金を受けとり始めたとき、65歳未満の扶養している配偶者がいると、65歳になるまで上乗せで支給される年金のこと。

老齢厚生年金を繰り下げると、その期間中、加給年金がなくなります。

たとえば、夫が65歳、妻が60歳で、夫が老齢厚生年金を68歳まで繰り下げた場合、3年間は加給年金額分がないこと。夫が68歳で老齢厚生年金を受給し始めると加給年金も加算されますが、妻が65歳になるまでの2年間のみ。繰り下げ期間中の3年分の加給年金は遡ってもらうことはできません。

加給年金は、39万7500円(令和5年度)。妻が5歳年下なら、5年間で約200万円にもなります。繰り下げで年金を増やしつつ、加給年金も受けとりたい場合は、老齢厚生年金は当初の予定どおり65歳から受けとり、老齢基礎年金だけを繰り下げるのがおすすめ。老齢基礎年金の繰り下げは、加給年金には影響しません。

また、加給年金は配偶者が65歳になるとなくなりますが、かわりに配偶者の老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされます(昭和41年4月1日生まれまでの人が対象)。この振替加算は、受け取る側の人が老齢基礎年金を繰り下げると、繰り下げ期間中は受けとれません。先の例で、妻が老齢基礎年金を繰り下げると、妻は振替加算も受けとれなくなります。ただ、金額は加給年金ほど金額が大きくないので(年齢によって1~6万円程度)、繰り下げて老齢基礎年金を増やした方がトクな場合があります。

自分のケースで年金額がどう変わるか、年金事務所に相談して受け取り時期を決めるといいでしょう。

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