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【らんまん】そんな万太郎に「いくつになっても子どもっぽうて」と呆れ、笑いつつ、決意を肯定するのは、やはり竹雄(志尊淳)だった

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田幸和歌子

かつて「己のまま生きていける世の中を作りたい」と願い、自由民権運動をした早川は、また戦いの世の中に苦しみを抱いていた。「自由とは己の利を奪い合うことじゃない」「憎しみは憎しみを呼んで、行きつくところまでいくしかのうなる」と言う。そんな早川にとって、変わらない万太郎は、希望なのだろう。万太郎が昔と同じように草花を追いかけ続け、図鑑を発売しようとしていると知ると、資産家・永守徹(中川大志)を紹介する。

永守は叔父の莫大な資産を相続しており、万太郎の図鑑に出版社、標本に博物館を提供したいと申し出る。永守は陸軍に行くことが決まっており、この国を文明国にしたいという叔父の遺志を「植物学」への寄付という形で継ぐことで、それを「生きた証」にしたいというのだ。万太郎はその申し出に感謝しつつも、永守の戻りを待つと約束する。

一方、藤丸と竹雄、綾は新しく酒を造るために沼津に移住することに。かつてそれぞれに与えられた役割から解き放たれ、万太郎が植物の道を、綾が酒造りの道を歩むと決めたとき、二人は「お互いに今日選んだ道を後悔だけはしない」と約束し、指切りした。そんな二人を竹雄が優しく包み込んでいた。

そして今度は、旅立ちを前に、再び綾と万太郎が指切りし、二人の手を竹雄、寿恵子が包み込む。ふと寿恵子が新たに家族として加わり、タキ(松坂慶子)との別れ間際にみんなで花見をした時を思い出す。そして改めて思う。こうして何度も別れを繰り返しつつも、きっとこの関係がずっと続いていくことを。

別れの間際、万太郎は竹雄に、和歌山の神社で採集してきた神社の守り神「ツチトリモチ」と、書き取って来た神社の植物全部を大学に提出すると語る。国の大号令である神社合祀令に逆らうことは、大学への反逆でもある。しかし、その万太郎の思いを誰より長く深く知るのは幼馴染の竹雄だ。

幼い頃、雑草という植物はない、一つ一つに名前がある、人がその名前を知らないだけと竹雄に語った万太郎は、今も全く変わっていない。そんな万太郎に竹雄は「いくつになっても子どもっぽうて」と呆れ、嬉しそうに笑いつつ、「そんでも金色の道を貫きたがじゃな」と万太郎の決意を肯定する。

幼い頃から常に万太郎の生き方を肯定してくれた竹雄に背中を押され、万太郎の人生を懸けた最後の冒険がいよいよ始まろうとしている。

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