私らしく生きる 50代からのマチュア世代に

人気記事ランキング 連載・特集

三浦朱門・曽野綾子夫妻の長男に嫁いだ著者が描く、強烈な個性をもつ家族の物語とは?

公開日

更新日

ゆうゆう編集部

新しい世界を見せてくれる夫との暮らしに退屈はなし

義理の祖父の逸雄氏には面食らうことばかりだったが、ともに過ごす時間が楽しく、書き残しておきたいことがいちばん多かったという。

暁子さんが結婚した頃は、義父母と同じ敷地内の日本家屋に住んでいた。祖父は本に埋もれた「魔窟」のような部屋で、ゆっくりと話し、とっておきのコーヒーをふるまってくれた。そのひとときは、「機関銃のようなスピードで会話が飛び交う」三浦家の、若い嫁にとって癒やしの時間でもあった。

義父の朱門氏も、寛大な心で導いてくれる存在だったと振り返る。

「一人息子の嫁ですから、あちらは女の子というものがよくわからない。だから私が、『女の子とはこんなもんです』と言うと、『おっ、そうか』と言ってもらえたんです(笑)。私が正直に『わからない』と言うと『どこからわからないの?』と聞いてくれ、『最初から』と言うとちゃんと最初から教えてくれる。心強かったです」

義母である曽野綾子氏は?

「喧嘩をしたことがないんです。『暁子さんのことは嫁と思わないで、一人の女性として考えたいと思う』と言われてしまうと、喧嘩にもならないんですね(笑)」

世間から注目される義母は、背負う苦労も計り知れない。そんな彼女を案じたときに、義父に言われた言葉が心に残っている。

「『知壽子(曽野氏の本名)は、山登りなんかしたくないのに、仕方なく頑張って登っているんだ。しかもハイヒールを履いて、痛みなどないかのような顔をして。そこを理解してあげなさい』と」

現在、暁子さんは太郎氏と二人暮らし。夫は職場の大学を辞するや「これこそが俺の理想の生活」と、家に居続ける暮らしを堪能。

「私が知らなかった世界をたくさん見せてくれた人です。変化し続ける人なので退屈しません。今、彼が積み上げた本に埋もれている様子は祖父の『魔窟』を彷彿とさせます。隔世遺伝でしょうか(笑)」

PROFILE
三浦暁子

みうら・あきこ●1956年、静岡県生まれ。上智大学文学部卒業。
在学中に、三浦朱門と曽野綾子の長男・太郎と結婚。その後、エッセイを書き始める。
近年はノンフィクションも執筆。神戸新聞「文芸エッセー」「のじぎく文芸賞」選者。
『テーマは愛』『ソメスサドルの挑戦 炭鉱の町から世界へ』など著書多数。

※この記事は「ゆうゆう」2023年12月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。


取材・文/志賀佳織 撮影/佐山裕子(主婦の友社)

ゆうゆう2023年12月号

「片づけ上手ですっきり暮らす!」を大特集。体がしんどくならない片づけや掃除法を4人のプロが伝授します。住まい方アドバイザーの近藤典子さんが提案するのは、終活ならぬ「収活」術。今の自分の暮らしに必要なものを選び、適切な場所に収めていく方法を優しく教えます。その他、建築家・水越美枝子さんの「適所適量」の収納法や「お金も時間もたまる紙の片づけ」、掃除が苦手な人におすすめの「ついで掃除」など、読むだけで暮らしに前向きになれる特集です!
もう一つの注目企画は「もう家族疲れで悩まない!」。とても身近な存在だけに、悩みの尽きない家族ストレスについて、じっくり考えました。

※「詳細はこちら」よりAmazonサイトに移動します(PR)

詳細はこちら
この記事の執筆者

PICK UP 編集部ピックアップ