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【虎に翼】娘(伊藤沙莉)の背中を押す存在となる母(石田ゆり子)の意地。迫力の演技に魅せられた第1週

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田幸和歌子

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。困難な時代に立ち向かう法曹たちの姿を描く「虎に翼」で、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください

【虎に翼】娘(伊藤沙莉)の背中を押す存在となる母(石田ゆり子)の意地。迫力の演技に魅せられた第1週

「虎に翼」第1回より(C)NHK

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伊藤沙莉主演のNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『虎に翼』の第1週「女賢(さか)しくて牛売り損なう?」が放送された。

本作は、女性法律家のさきがけとなった三淵嘉子をモデルに、女性の法曹界進出を描いていく物語。

第1週では、登場人物のキャラクターの豊かさとそれぞれの細かな表現力に驚かされることが多かった。

まずはヒロインの寅子(伊藤)だ。見合いでは断られ続ける寅子。結婚を間近に控えた親友の幸せを願うことができても、「ここに自分の幸せがあるとはとうてい思えない」という疑問はずっと残り続ける。

「女の人のいちばんの幸せは結婚なのか?」。結婚や見合いに向き合うごとに心は踊らずどんどん「しぼんでいく」……。

自分が生きる世の中の決まりごとのようなものに常に「はて?」と立ち止まり、時にはその思い、おそらく正論を早口で理路整然と説明する。そもそも女学校での優秀な成績を「1、2を争う」というところを何度もかたくなに「2番」と強調し、その理由もやはり早口で説明する。そういったことがお見合いの相手方を引かせてしまいお断りされるパターンになっているのが見える。

見合い相手として登場した東大卒のエリート・横山(藤森慎吾)は、寅子の社会情勢への興味に好感触であったが、やはり自分の意見や知識を語り倒すと、途中で「女のくせに生意気だ」と遮り、3度目の失敗となってしまう始末。

この寅子、というより伊藤沙莉の、周りとは関係なく興味あることや自分の思うことについて早口で演説する感じからあるキャラクターが瞬時に思い浮かんだ。彼女が声優をつとめ出世作のひとつとなったテレビアニメ「映像研には手を出すな!」のヒロイン「浅草みどり」だ。この“浅草氏”、面白いと思ったことにとにかく突き進むいっぽうで、人付き合いに少し難があるところなど、まさにハマり役だった。今なお伊藤沙莉といえば浅草氏といったイメージもあるだけに、この寅子もまた初回からハマっているのも当然だろう。

寅子の心の声のようなものをモノローグのようにかぶせてくるのが「語り」を担当する尾野真千子だ。言うまでもなく「カーネーション」のヒロイン。ファッションデザイナーとして自立する強い女性だった糸子を配置するというところも、またやられた! という感じだ。この尾野真千子のナレーション、第1話冒頭の静かにかつ力強く、この物語の肝といっていい日本国憲法第14条を読み上げるところでいきなり引き込まれてしまった。

「第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」

今なおまだ達成されていない状況を最初に持ってきてたっぷりと声で聴かせたところに強い思いを感じる。それでいて、寅子の心の声のようにツッコむ軽妙さとの振り幅の広さも尾野真千子の演技力の確かさを示している。と同時に、伊藤沙莉の笑顔の中に怒りを封じ込めた表情の演技の説得力をさらに高めてくれていて、寅子という女性がどういう性格なのかを1話から分かりやすく視聴者に教えてくれた。

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