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【親の認知症に気づいたら】イライラしないコツは、完璧な介護を目指さないこと

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気持ちの余裕をつるくことの大切さ

本人のペースにあわせることは、介護する家族のほうに気持ちの余裕がないとできません。そのためには、次にあげるようないくつかのことが必要になります。

・認知症の症状や特性を知り、それに合わせた対応をする。
・介護サービスを利用するなどして、介護に費やす時間を減らす。
・完璧を目指さず、できる範囲でやると考える。
・いろいろな人との交流を通して、ほかの介護者の経験やアドバイスを自分の介護に生かす。

認知症の人のペースに合わせることは、結局、介護にかかる身体的・精神的・時間的な負担を軽減することにつながるのです。

介護サービスを活用すれば家族の負担は少なくなる

いま、認知症に関するさまざまなサービスは充実しています。訪問介護サービスなどを利用すれば、介護者の身体的な負担を軽くすることが可能になっています。デイサービスやショートステイなど、在宅ケアをしている家族にとって助かるサービスもあります。

家族の負担を減らすために大切なのは、まず、認知症に関する制度やサービスにはどんなものがあるのか調べてみること。そして、それらを積極的に活用することです。

人は人、自分は自分と割り切る

とはいえ、介護サービスが充実していることを知っても、それを利用することへの抵抗やためらいを感じる家族もいます。

たとえば、「母がデイサービスに行っている間、寂しがっていないかしら、家に帰りたいと言ってるのではないかしら」などと、いつも親のことが気になり、気持ちが落ち着かない人もいます。

あるいは「ショートステイを利用したら、親戚から『お母さんがかわいそう』と非難されたので、それ以来、利用していない」という人もいます。

介護サービスが充実していても、それを利用することへの「心理的なハードル」が高ければ、せっかくの制度を生かすことができません。心理的なハードルの高さは、介護者の周りにいる人たちの無理解もありますが、介護する人自身の性格や考え方、経験などによっても違ってきます。

なかには「ヘルパーさんが来る日は、朝早く起きて部屋の掃除をするのでかえって大変」という人もいます。他人であるホームヘルパーが家の中に入ってくるということに対し、抵抗感を示す例のひとつです。

こうした介護者自身の心理的なハードルの高さもありますが、「周りからどう思われているのか気になる」といったふうに、世間体や親戚の目を気にすれば、心理的なハードルは一気に高くなります。

「人は人、自分は自分」「いずれ、ほかの人も自分と同じような経験をするのだから」と割り切って考えることも大切ですね。



※この記事は『親の認知症に気づいたら読む本』杉山孝博(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。

監修者

川崎幸クリニック院長

杉山孝博

川崎幸クリニック院長。1947年愛知県生まれ。東京大学医学部附属病院で内科研修後、地域医療に取り組むため、川崎幸病院(神奈川県川崎市)に勤務。1981年より「公益社団法人認知症の人と家族の会(旧・呆け老人をかかえる家族の会)・神奈川県支部」の活動に参加、現在、同会副代表理事、神奈川県支部代表。往診・訪問看護を中心にした在宅ケアに取り組み、「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」「上手な介護の12カ条」を考案、普及。公益社団法人日本認知症グループホーム協会顧問や、公益財団法人さわやか福祉財団評議員、厚生労働省関係委員としても活躍中。主な著書・監修書に『よくわかる認知症ケア』(主婦の友社)、『認知症の人のつらい気持ちがわかる本』(講談社)、『認知症サポート』(学研)など多数。

川崎幸クリニック院長。1947年愛知県生まれ。東京大学医学部附属病院で内科研修後、地域医療に取り組むため、川崎幸病院(神奈川県川崎市)に勤務。1981年より「公益社団法人認知症の人と家族の会(旧・呆け老人をかかえる家族の会)・神奈川県支部」の活動に参加、現在、同会副代表理事、神奈川県支部代表。往診・訪問看護を中心にした在宅ケアに取り組み、「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」「上手な介護の12カ条」を考案、普及。公益社団法人日本認知症グループホーム協会顧問や、公益財団法人さわやか福祉財団評議員、厚生労働省関係委員としても活躍中。主な著書・監修書に『よくわかる認知症ケア』(主婦の友社)、『認知症の人のつらい気持ちがわかる本』(講談社)、『認知症サポート』(学研)など多数。

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