長田育恵のオリジナルストーリー×神木隆之介主演の第108作目NHK連続テレビ小説『らんまん』の第１週が放送された。

本作は、明治の世を天真らんまんに駆け抜けた高知出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにした物語。

朝ドラの長い歴史の中でも極めて少数の男性主人公ということ、子役時代から誰もが知る好感度抜群の神木隆之介主演ということ、メディアが取り上げる機会も多いAK（NHK東京放送局）作品ということなどから、注目度が高い本作。一方、朝ドラ好きの人々にとっては「力を入れている作品＝様々なお付き合い事情などで作品が窮屈になる」不安も開始前には囁かれていた。

しかし、そんな不安を軽やかに吹き飛ばしてくれた第１週。

主人公・槙野万太郎（森優理斗）は造り酒屋「峰屋」の跡取り息子として生まれた、草花が大好きな男の子。病弱で祖母のタキ（松坂慶子）や母・ヒサ（広末涼子）に心配をかけることが多く、祖父も父も亡くした槙野家の幼い「当主」として「特別扱い」される一方、親戚には「いっそのこと生まれてこない方がよかった」と陰口もたたかれる。そんな万太郎にとって、第１週は悲しい別れと、この先進む道を照らす出会いが描かれていた。

ヒサに神様は見えなくてもいると言われ、納得できなかった万太郎が家を飛び出したとき、裏山の神社で「天狗」と名乗る謎の武者＝坂本龍馬（ディーン・フジオカ）と遭遇。そこで龍馬の言葉から、万太郎は生きる希望をもらう。

その一方で、万太郎と姉・綾（太田結乃）を優しく見守るヒサの命の灯火は消えようとしていた。万太郎はヒサが好きだと言った花・バイカオウレンを探しに行くが、神社には見当たらず、立ち入りを禁じられた奥山へ。万太郎不在に気付き、探しに行くのは、綾と、万太郎と年が近いことから、タキにお目付け役を命じられた番頭の息子・竹雄（井上涼太）だ。

竹雄は幼いながら、万太郎に何かあったときの責任を背負う立場。しっかり者の綾は、家業のことを考え、早く役に立ちたいと思う責任感の強い子だ。しかし、竹雄と万太郎が揉めた際、万太郎を追って酒蔵に入ってしまい、蔵人たちに厳しく叱責される。女は不浄で、女が酒蔵に入ると酒が腐るという、科学の発展していない時代ならではの理不尽な理由からだ。

しかし、ある意味万太郎に振り回されている2人は、主人公の陰の存在ではない。竹雄は小さな草の命に気づく万太郎の優しさを知っているし、綾は万太郎がピリピリした蔵人たちを和ませる力を持つことを知っている。そして、そんな2人が奥山で助けを求める万太郎を助けるのだ。