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岸本葉子さんの俳句のすすめ。「始めるなら若者よりも年齢を重ねているほうが有利です」

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マチュアリスト編集部

ありのままを受け入れる。 俳句に“ 生憎(あいにく)”はありません

自分の句を人に読んでもらうと、思いがけない解釈をされることがあるそうです。自信作があまり評価されないことも、よくあるのだとか。

「だから、こだわりがない人のほうが楽しめると思います。『私が言いたかったのはそうじゃない』とがんばるより、『そんなふうに読めるんだ』と、“自分”を手放せる人のほうが向いているかな」

うまいと思われたい、頭がいいと思われたい。誰の心の中にも、カッコ悪いところは見せたくないという思いがあるけれど、岸本さんが俳句に感じるのは、「そういう欲張りな心を捨てる趣味なんだな」ということだそうです。

「先輩たちによく言われるのは、俳句に“生憎”はない、ということ。雨が降ったら残念だと思うのではなくて、降ったなあと受け止めて雨を詠めばいい。“生憎”というとらえ方をしなくなると、気持ちがのびのびとしてきます」

ありのままを受け止めれば新しい発見もある。心が柔らかくなってこだわりが消え、読み人の驚くような解釈も面白がれる。俳句の楽しさは、そういうところにあるのかもしれません。

句会はこんなふうに行われます

・ 題をもらい、決められた数の句を作って短冊に書いて持ち寄る
           ↓
・ 句会の会場で短冊を集めてシャッフルし、
各自渡された短冊の句を清記用紙に記入する
           ↓
・ 清記用紙を回して選句する(自分の句は選ばない)
           ↓
・ ひとりずつ自分が選んだ句を読みあげる。
手元の清記用紙に選んだ人の名前を書き込む
           ↓
・ 清記用紙を集めて、一句ずつ選んだ人がその理由などを述べる。
その句について話し合ったあと、作者が名乗る。

句会は、上のような流れで行われます。やり方はグループによって多少違うこともありますが、どの会でも共通しているのは「選句の時点ではまだ、誰が詠んだ句なのかわからない状態にしておく」こと。そして、「選句で自分の句は選ばない」ということです。
最近はオンライン句会も増えています。感染リスクが少ないので、初めての方も安心かもしれません。

profile
岸本葉子さん
1961 年、神奈川県生まれ。大学卒業後、会社勤務などを経て執筆活動をスタート。暮らしや旅のエッセイが広く支持される。2008 年、俳句番組への出演がきっかけで俳句に興味を持つ。当時の学びや驚きは、著書『俳句、はじめました』(角川ソフィア文庫)に詳しい。

※この記事は「60代からの小さくて自由な暮らし」主婦の友社編(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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