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「将来、年金だけで暮らしていくなんて想像できない!」と怖くなるマチュア世代に、井戸美枝さんがアドバイス

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横田頼子

年金生活をシミュレーションしてみよう

「いろいろ試してみたけど、思ったより生活費がダウンサイジングできない」「何を削ればいいか、やっぱりわからない」という人もいるでしょう。
その場合、おすすめは、実際に年金レベルの生活で暮らしてみることです。

相談者の場合、年金収入は20万円ですから、20万円でどのように予算を配分するか考えてみてください。住宅ローンや教育費などは、老後にはかからないものとみなします。

20万円でマンションの管理費や水道・光熱費、スマホ代などの固定費を支払い、残ったお金で食費や日用品、洋服などの費用をやりくりしていくのは、難しく感じるかもしれません。でも、現実に、いずれは20万円の生活サイズになっていくのです。今なら失敗してもダメージは少なく、何度でもトライできます。

食費や日用品などに使える予算を現金で手元において、やりくりしてみるのもいいですね。「これしか使えない」という状況を作れば、何が買えるかを真剣に考えるようになり、なんとなく使っていた支出のムダに気づくはずです。

「自分はムダが多いかも」と自覚している人ほど、年金生活のシミュレーションは出費を本気で見直すきっかけになります。ある程度予算が守れるようになれば、年金生活への不安も解消します。

ワンポイント!
年金だけでは、どうしても生活費が足りないと思ったら、対策を考えておきましょう。

【対策1】貯金から生活費の補てん用のお金をとりおいておく。
例)毎月2万円の赤字の場合、貯金からとりおきたい額は、
2万円×12か月×30年(95歳-65歳)=720万円

【対策2】元気なうちは赤字の分だけバイトで働いて収入を得、以降は貯金で補う。
例)毎月2万円の赤字で、65~75歳まで月2万円の収入を得た場合、
貯金からとりおきたい額は
2万円×12か月×20年(95歳-75歳)=480万円

夫婦で働いて月4万円の収入があれば、貯金から補う支出はさらに減って、240万円になります。老後に用意できる貯金額と照らし合わせながら、さまざまな可能性を考えてみましょう。

次回は、老後に貯蓄から補うことになる「特別支出」についてお話します。

プロフィール
井戸美枝

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士、国民年金基金連合会理事。生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題が専門。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに、雑誌や新聞に連載を持つ。近著に『フリーランス大全』(エクスナレッジ)。『親の終活 夫婦の老活 インフレに負けない「安心家計術」』(朝日新書)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!増補改訂版』(日経BP)など著書多数。
ホームページ:http://mie-ido.com
Twitter:@mieido

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