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韓国リメイク版「愛していると言ってくれ」。大人の恋の物語はどこに向かう? 13~16話【韓国ドラマ】

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1つは、耳の聞こえない主人公が声を発するシーン。日本版では、いま声をかけないと2度と会えなくなる、という場面で、トヨエツが向かい側のホームにいる常盤貴子に向かって絞り出すように名前を叫び、一度も聞いたことのない彼の声に彼女は気づく。韓国版では別れの後、痛飲したジヌが街角の縁石に座り、モウンの幻に向かって、小さな声で「モウン」とつぶやく。その声をモウンに聞かせてあげたかった、と思うのは私だけだろうか?

もう1つは、『愛していると言ってくれ』というタイトルどおり、日本版では別れの時が迫る海岸で、トヨエツが「『アイシテイル』と言ってくれ」と手話で伝え、常盤貴子が彼の首元にすがりつきながら「愛している」と何度も何度も声に出す。見た人なら誰もが覚えている余りにも印象的なシーン。韓国版では、この場面が描かれることはなかった。

韓国版はオリジナルをリスペクトし、インスパイアされたうえで制作された作品。時代設定を現代にもってきて、設定年齢もかなり上にして、それでも違和感なく感動することができたのは、チョン・ウソンの何としてもリメイクしたいという情熱と演技の力に他ならないと思う。全16話を彼の優しい眼差しが引っ張った、と言ってもいいくらいだ。でも、鉛筆や絵筆をとる手を見ると、ちゃんと50歳(実年齢)らしい武骨な手をしていて、それさえもが大人の色気。愛おしい。

物語はラストに、1年後の2人が描かれる。ジヌが教えた美術教室の愛すべき生徒たちが企んだ再会のチャンス。1年間で、ジヌは画家として、モウンは女優として、それぞれ「自分らしく歩む」ステップを少しずつ上っていた。

「こんばんは。僕の名前はチャ・ジヌです。また会えてうれしいです」と手話で伝えるジヌ。それは物語の始まりに、ソウルの街角でジヌと再会できたモウンが、覚えたての手話で一生懸命に伝えた挨拶と全く同じだった。伏線回収が、2人の新しい物語が始まるサインに使われる、というシナリオの巧みさもすばらしい。

正真正銘、上質な大人のラブストーリー。エピローグに、ジヌが心の声で語る素敵な最後のセリフまで、ぜひお聞き逃しなく。

配信情報
『愛していると言ってくれ』
ディズニープラス スターにて全話独占配信中
(全16話)

コピーライト
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原作 日本のテレビドラマ「愛していると言ってくれ」(脚本 北川悦吏子・製作 TBS)

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