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「涙の女王」息することさえ忘れさせる キム・スヒョンの迫真の演技。もらい泣きするしかない13〜14話レビュー【韓国ドラマ】

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marumi

だが、ヒョヌは諦めない。ヘインが教会で書いた「人生で大切なものは2つだけ。愛した記憶と愛された記憶、それだけは失いたくない」という祈り札を見つけ、泣きじゃくるヘインにこう語りかける。「君が別人になってしまったら、最初からやり直そう。君はまた僕を愛して、酔った僕のかわいさにときめいて、そうやって始めればいい」と涙ながらに説得する。2人の圧巻の演技に、涙しない人がいるだろうか。

たとえ“過去の記憶”は失ったとしても、“これからの記憶”を積み重ねていけばいい。また愛し、愛されればいい。ヒョヌは新たに2人で作り出す“記憶”の大切さを伝えようとしていた。

手術の決断ができずにいたある日、ヘインを乗せたまま路駐した車が追突され、炎上するのを見たヒョヌは、身の危険も顧みず、拳で窓ガラスを叩き割って助け出そうとする。が、ヘインは幸運にも車の外にいた。「死んだと思った。よかった……」と路上にへたり込むヒョヌ。まるで魂を失ったかのようなヒョヌの姿を見たヘインの顔には、「私が生きて、彼を支えなければ」とちゃんと描いてあった。ヘインもヒョヌが“生きる原動力”なのだ。ヘインは手術を受けることにした。

「目が覚めたとき、必ずそばにいる」という約束を交わしてヘインを手術室に送り出したヒョヌは泣き崩れる。手術を受けさせることができた安堵、ヘインが記憶をなくすかもしれない痛みや恐怖……。いろんな感情が次々に襲ってきているのがその泣き顔で手に取るようにわかる。もらい泣きするしかない。

だが、感動も束の間、突然ヒョヌが殺人の濡れ衣を着せられて拘束されたり、憎きユン・ウンソン(パク・ソンフン)が現れて「ヘインのことは俺に任せろ」と割り込んだり、怒涛の如く押し寄せる不穏な雲行きはラストまで続きそうだ。

でも、神エピローグがそんな心配を吹き飛ばしてくれる。

13話では、ヒョヌがこっそり、ヘインに宛てたビデオレターを撮影する。過去の記憶を失っても、そばにいる僕が全部教える、と切々と語るヒョヌ。「ヘイン」と呼びかけようとして、思わず言葉に詰まってしまうところで、涙腺スイッチが入る。おそらく全編ノーカット撮影、キム・スヒョンの集中力が凄い。

14話では、記憶王だというヒョヌに教わった、大切なことは口に出して何回も言う、という記憶術で、手術用麻酔のカウントダウンに「ペク・ヒョヌ」「ペク・ヒョヌ」……と繰り返しながら、ツツーッと涙を流して意識を失うヘインの姿に確信した。大丈夫、きっとヘインは、愛するヒョヌを思い出す。

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