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【猫の実話】やっぱり猫って聞き上手。泰然自若として愚痴を受け止めてくれる「ただそこにいることの大切さ」を教えてくれた

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マチュアリスト編集部

「猫がいてくれるから」がんばれる。救われた。毎日が楽しい……。そんな猫たちとの暮らし、出会いや別れなどの実話を集めた本が話題です。その中から、エピソードをひとつ紹介しましょう。めったに甘えてこないし抱っこも嫌いだけど、関心はもってほしいという、若干めんどうなタイプ。その変わらない姿が心強い、猫の話です。

ただそばにいてくれる京介

猫を飼ったら、毎晩いっしょに寝たり、ゴロにゃんと甘えてくれることを期待している人が多いと思います。

でも、あまり飼い主さんにベタベタしないタイプの猫もいます。
そのそっけなさもまた魅力ですが、「猫って思ったよりも自立心が高かった」と意外に思う人もいるようです。

そのとおり、猫は本来、自立した生き物です。
野生では群れをつくらず1匹で狩りをして、単体で生きてきた背景がある猫。

人間に飼われ、家猫になった今でも自立の精神は残っていて、あまり飼い主さんとベタベタしない猫もいます。
抱っこしようとしたら全力で逃げられた、かまいすぎて引っかかれた……そんな経験がある飼い主さんも少なくないでしょう。

だからといって、飼い主さんへの愛情や信頼関係がないわけではありません。

ベタベタしたコミュニケーションは必要ないけれど、飼い主さんの気配は感じていたい。視界に入れておきたい、同じ部屋にいてほしい。そんな猫もいます。

今回ご紹介する話に登場する猫も、自立心が強く、我が道を行くタイプ。
その泰然自若な様子が、コロナ禍で不安を抱えていた飼い主さんに安心感を与え、日々を生きる力になっています。

名前 京介
年齢 4歳
性別 オス
種類 ラガマフィン
性格 ツンツンツンツン…デレ?
特技 オスワリ、マテ、ターンができる、撮影モデルができる
好きなもの 外での散歩、釣り竿型のおもちゃ

コロナ禍で感じた愛猫のありがたみ

世界中で猛威をふるっていた新型コロナウイルス感染症。
「これからどうなるんだろう」と不安を感じていた人も多いでしょう。

我が家の暮らしも、コロナ禍でだいぶ変わりました。
私はフリーランス稼業のため、もともと在宅での仕事が多かったのですが、それでも週に何度かは外での仕事がありました。仕事の依頼も減ってきて、それも心配のひとつでした。
完全に自宅勤務になった夫も、家での仕事環境をととのえたり、オンオフの区別をつけることに四苦八苦していました。すると私のほうも、プライベート空間を侵食される感じがして、イラついてしまうことも……。

気分転換がしたくても、感染のリスクを考えると友人との食事や遠出もできません。実家への帰省も我慢していました。
何よりも、「いつ自分が感染症にかかるかわからない」「自分が誰かにうつしてしまうかもしれない」という不安や恐怖感は並大抵ではなく、それがずっと続くことが本当につらく思えました。

そんな中でも、私たち夫婦を癒し、家庭の雰囲気を明るくしてくれたのが、愛猫の京介という存在です。

京介はおもしろい猫です。来た初日から部屋を駆け回り、ごはんをモリモリと食べ、ゴーゴーと熟睡。繊細さはまったく感じられませんでした。
自立した性格で、めったに甘えてきません。抱っこも大嫌い。

その一方で、私がゲームに夢中になっていると、足元に寄ってきたりします。それでも私がかまわないと、足に軽く噛みついてきたり……。

ベタベタされるのは嫌いだけど、関心は向けてほしい。若干めんどうなタイプですね。

私たちが自宅で仕事するようになって、在宅時間が増えても、京介はひょうひょうと生活をしています。コロナ禍というかつてない経験の中、不安でいっぱいな私には、変わらない京介の姿が心強い。

コロナや将来に対して悲観的な考えが芽生えても、京介のごはんの準備やトイレ掃除、遊び相手をしたりするうちにネガティブな思いは引っ込んで、「京介と今をしっかり生きよう」と思えてきました。
京介は、私が現実と向かい合う〝かすがい〟でもあるのです。

京介との出会いは仕事先でした。
私はカメラマンのアシスタントをしていて、ペットショップの犬や猫を撮影する際に店員さんが連れてきた猫のうちの1匹が京介でした。ほかの子猫は生後2~3カ月なのに、京介はそのときすでに6カ月。撮影のために残していたのか、それとも売れ残っていたのか。それはわかりませんでした。

ただ、ふわふわの毛並み、ぽよぽよした丸い体、かわいい顔立ちに加え、撮影のときの度胸のよさに私はすっかり惚れ込んでしまいました。

だから、撮影が終わったとき、「京介をください!」と叫んでしまったんです。

店員さんに「一度じっくり考えてくださいね」と言われ、その場は引き下がりました。
でも、京介への思いは冷めず、後日引き取りにうかがいました。

実はその時期はちょうど、結婚した直後でした。でも、夫は2週間の出張で家を留守にしていました。
夫のケータイに京介の写真を送って、「この子、飼うことにしたからね!」と事後承諾に近いかたちで報告したのでした。夫はもともと私が動物を飼いたがっていたのは知っていたので、「わかった」とだけ返事が来ました。

京介という名前は、ペットショップの店員さんが呼んでいた名前をそのままもらいました。撮影中もそう呼んでいて慣れてしまいましたし、「ほかの名前をつけてもいいよ」と言われても、「京介」以外はピンときませんでした。
後日、店員さんからうかがったのですが、京介の名前はかのロックスター〝氷室京介〟からいただいたそうです。誕生日が同じなのが理由なのだとか。

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