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【葬儀のマナー】仏式・神式・キリスト教式で異なる拝礼のしきたりとは?50代から心得ておきたい冠婚葬祭の常識

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マチュアリスト編集部

焼香や拝礼は、自分のやり方を通すというのではなく、場の雰囲気に合わせるのがマナーです。仏式か神式かキリスト教式か、まずは基本を覚えておいて、その場で遺族のやり方に合わせるのがいいでしょう。現代礼法研究所主宰の岩下宣子さんにお話を伺いました。

こちらもあわせてどうぞ。【葬儀のマナー】喪服、アクセサリーなど服装の決まり事とは?50代から心得ておきたい冠婚葬祭の常識

最も一般的な仏式では通夜・葬儀では抹香

「粉状の抹香は何回くべるべきか」「香を額や目の高さまでささげるか」「線香は折るのか、立てるのか」といった焼香の作法は、宗派によって違います。

実際の葬儀では、まず遺族が焼香するので、遺族と同様にすればよいでしょう。

ここでは抹香は「1回」「目の高さまでささげ」、線香は「折らずに立てる」方法を紹介します。

順番が来たら、遺族、僧侶に一礼して祭壇に進み、遺影を仰いで一礼してから焼香します。焼香後は静かに合掌し、遺影、僧侶、遺族に一礼して席に戻ります。

なお、仏式では、数珠を用意しましょう。数珠は念仏のときに用いるため「念珠」ともいい、通夜、葬儀・告別式に持参します。房を下にして左手で持つのが原則ですが、合掌するときも左手にかけたままか、両手にかけるかは宗派によって違います。

仏式拝礼の作法

抹香焼香の作法

1数珠は左手にかけて持ち、右手の親指、人さし指、中指の3本で香を軽くつまむ。
2頭を軽く下げ、香をつまんだ手を目の高さまでささげる(ささげない宗派もあるので遺族の焼香に注目)。
3体を起こしながら、香を静かに香炉にくべる。基本は1回。
4遺影に向かって合掌。1〜2歩下がり、遺影に一礼。向き直って僧侶と遺族に一礼する。

線香焼香の作法

(通夜や自宅への弔問で線香をあげる方法です)

1 数珠を左手にかけて持ち、遺影を仰いで一礼する。右手に線香を1本とり、ろうそくの火を移す。
2 線香の炎は左手であおいで消すか、すっと下に引いて消し、香炉に立てる
(線香を折ったり寝かせる宗派もある)

神道の通夜・葬儀では玉串をささげる

神式の場合も、準備の進め方は仏式と変わりません。

仏式の通夜にあたるのが「通夜祭」と「遷霊祭」です。本来別々の儀式ですが、現在では通夜祭の日に同時に行われます。仏式の葬儀・告別式にあたるのが「葬場祭」です。

仏式の通夜ぶるまいや精進落としにあたる席は「直会(なおらい)」といい、仏式同様に故人をしのびます。

通夜祭、葬場祭を通して、遺族や参列者が気をつけたいのは、
・修祓の儀のときは起立して、深く頭を下げておはらいを受ける
・玉串奉奠(たまぐしほうてん)は正しい作法で行う
の2点です。

玉串とは榊の枝に四手という紙片をつけたもので、祭壇にささげて、故人の霊の平安を祈ります。神官に一礼し、下記を参照して扱います。かしわ手は手のひらを合わせる寸前に止め、音を立てません(しのび手)。

玉串奉奠の作法

神道では欠かせない儀式です。慶弔を問わず行います。

1 神官に一礼する。玉串を受けとるとき、枝元が右手に来るように渡されるので、右手は枝元近くを上からつかみ、左手は下から支え、ささげるように持つ。
2 祭壇の2〜3歩前まで進み、玉串を胸の高さにささげ持って深く一礼し、進み出ながら時計回りに枝元を手前に回転させる。
3 左手を玉串の根元に移動させて持ち、反対の右手は枝先の下から添えるようにする。つまり左右の手で持ちかえるということ。
4 さらに時計回りに180度回転させ、枝元を祭壇に向ける。左手を玉串の下から支えるように持ちかえて、祭壇の前の台に置く。

キリスト教式や無宗教葬では献花が一般的

キリスト教の葬儀、別れの儀式では祭壇に白い花をささげる「献花」が行われます。両手で持ち、枝元が祭壇に向くようにおきましょう。

献花の作法

(仏式の焼香や神式の玉串奉奠にあたる儀式)

1 祭壇に向かって一礼し、係の人から花が右側にくるように両手で受けとる。
2 祭壇前で一礼し、進み出ながら、根元が祭壇に向くように時計回りに回す。
3 左手の甲を下にし、右手を下から添えるようにして献花台に置く。
4 頭を下げて黙祷し、一歩下がって深く一礼。遺族や牧師(神父)に一礼し席に戻る。


※この記事は『50代からの冠婚葬祭きちんとマナー』岩下宣子監修(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。

※2023年8月21日に配信した記事を再編集しています。

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監修者

現代礼法研究所主宰

岩下宣子

共立女子短期大学卒業。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流の小笠原清信氏のもとでマナーを学ぶ。1985年、現代礼法研究所を設立。多数の企業や公共団体などでマナーの指導、研修、講演、執筆活動を行う。NPO法人「マナー教育サポート協会」理事長。『美人のことば練習帖』(三笠書房)、『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(KADOKAWA)、『書き込み式おつきあいを大切にする安心メモリー帖』(池田書店)、『冠婚葬祭マナーの新常識』(主婦の友社)など、著書、監修書多数。

共立女子短期大学卒業。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流の小笠原清信氏のもとでマナーを学ぶ。1985年、現代礼法研究所を設立。多数の企業や公共団体などでマナーの指導、研修、講演、執筆活動を行う。NPO法人「マナー教育サポート協会」理事長。『美人のことば練習帖』(三笠書房)、『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(KADOKAWA)、『書き込み式おつきあいを大切にする安心メモリー帖』(池田書店)、『冠婚葬祭マナーの新常識』(主婦の友社)など、著書、監修書多数。

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