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【らんまん】万太郎(神木隆之介)と竹雄(志尊淳)が呼び捨てで名前を呼び合う光景は微笑ましいが、同時に寂しさも

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田幸和歌子

朝ドラを見るのが1日の楽しみの始まりとなっている人、多いですよね。数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。より深く、朝ドラの世界へ!

【らんまん】万太郎(神木隆之介)と竹雄(志尊淳)が呼び捨てで名前を呼び合う光景は微笑ましいが、同時に寂しさも

「らんまん」第47回より(C)NHK

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【第9週のらんまん】順調すぎる流れでも、万太郎(神木隆之介)に「策士」のイメージがない理由は?

長田育恵作・神木隆之介主演のNHK連続テレビ小説『らんまん』の第10週「ノアザミ」が放送された。

寿恵子(浜辺美波)が元薩摩藩士の実業家・高藤(伊礼彼方)に鹿鳴館のダンス要員兼「人生のパートナー」としてロックオンされる一方、槙野万太郎(神木隆之介)は植物学者として大事な時期を全速力で走って行くため、しばらく白梅堂に行かないことを寿恵子の母・まつ(牧瀬里穂)に宣言。

万太郎は描いた絵の筆遣いをそのまま印刷できる “石版印刷”で植物学雑誌を出したいと考え、大畑(奥田瑛二)の印刷所に向かう。しかし、いくら技術が高くとも、画工が「写す」には限界があると感じ、自分が描くために、働きながら学ばせて欲しいと頼み込む。

発想は突飛だが、「教授料を払うこと」「見習いから何でもやること」を条件として提示する万太郎。それは、峰屋の当主として生まれつつ、自身は何もできない歯痒さを知るゆえの職人への尊敬であり、邪魔になる自覚があるため。と同時に、植物については誰より見てきて、書物も片っ端から読み、写して学び、誰より深い愛情も知識もある自負があり、日本の植物学への自身の使命を信じているからだ。

とはいえ、呑気に見える万太郎は、職人たちに最初のうちは煙たがられる。

しかし、顔を真っ黒にして働く情熱と器用さは徐々に周囲に認められ、とうとう画工に絵を描いてみるかと言われるまでに。実際に描いてみて「下手くそじゃのう」と笑う万太郎と、つられて笑う周囲を見ていると、万太郎が愛される理由がよくわかる。峰屋でも、学問所の「名教館」でも、植物学教室でも、最初は疎まれていたのに、気づけば万太郎の熱意と笑顔は、周りにも伝染していった。

しかも、器用さを褒められ、うちで働けと言われても、適当にその場限りの返事をするわけでも、困った顔をするわけでもなく、「ありがとうございます! 遠慮しときます!」と笑顔で断る人たらしぶり。この長田脚本+神木による、人を不快にさせない誠実な断り方の上級テクニックには、思わず唸らされる。

そして、そんな笑顔を支えているのが竹雄(志尊淳)だ。

砂まみれになった万太郎を見た竹雄は、当主が見習いでこきつかわれること、自分がついていながら守れないことが情けなく悔しいと、涙を見せる。そんな竹雄に「わしがここにおったら、竹雄、心配するじゃろう」と、家を出て住み込みで働こうかと言い出す万太郎に、竹雄は「若は卑怯です!」と憤慨。そして翌朝、佐川に帰ろうと思うと告げるのだ。

これは竹雄なりの“仕返し”で、竹雄は今後は峰屋の当主ではなく「ただの槙野万太郎」と思うようにすると宣言する。互いに呼び捨てで名前を呼び合う光景は微笑ましいが、同時に寂しさも感じさせる。いつでも万太郎のそばにいる最大の理解者で、保護者で、恋人のようで、ある意味共依存にある竹雄との関係が永遠に続くはずはないからだ。

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