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引きこもり状態の息子を、社会に一歩踏み出させるには? 坂東眞理子さんのすっきり人生相談

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ゆうゆう編集部

相談②
親の認知症は嫁のせい?

同居の義母(90歳)に認知症の兆候が表れ、やっと病院で検査を受け、要支援の認定をもらいました。近所に住む義姉が「お母さんがボケたのは、嫁(私のこと)がちゃんと様子を見ていなかったせいじゃない?」と陰口をたたいていて、腹が立つやら悲しいやら。正直、90歳ならボケて当然だし、義母の介護は義姉に任せたいのですが、長男である夫が納得しません。(65歳・農業従事者)

「義姉は未熟な人」と思い、対等の立場ではけんかをしない。夫には義母の現実を伝えて

介護は義姉に頼らず夫を引き込んで

まず、義母の認知症は嫁のせいではない、まったく関係ありません。90歳を過ぎると約半数に認知症の兆候が表れるといわれています。お義母さんは90歳とのことですから、認知症の兆候はやむをえないことです。

初期の認知症であっても、日常生活を自分でできるのであれば上出来。「認知症だから何もできない」と言って排除するとどんどん進行が早まるので、家族や周囲は社会生活に支障がないよう、適度にサポートしてあげることが大事です。会話や予定などを忘れることが増えるので、紙と鉛筆を渡して「今の電話、メモしておいてくださいね」。後日、忘れていたら「メモにこう書いてありましたよね」。言った・言わないの論争になるとお互いに困るので、メモを取っておくことです。

義姉については「徳なきは憐れむべし」。腹が立っても対等の立場でけんかすることはありません。「お義姉さんは認知症のことも世の中のことも私たちの状況についても、何もわかっていないのね」「人間として未熟ね、かわいそうに」と、上から目線で憐れんであげてください。そうすれば腹の虫も治まるはず。そして、そんな義姉には介護を頼らず、夫を引き込みましょう。

夫にしてみれば、しっかりしていた親の印象が強く記憶に残っていて、認知症になった親を受け入れられないこともあるかもしれません。だから「こんなことがあったのよ」「でも受け入れていこうね」と、認知症の現実を伝え意識してもらう必要があります。

そのうえで夫に介護を交替してもらうのも手。「1泊2日で実家に帰るから、お義母さんのことお願いね」。そうすれば夫にも現実が見えるはずです。

坂東さん流 初期認知症の人とのつき合い方

・世間から排除しようとしない
・予定や会話を忘れがち。メモを取って確認を
・義父母の介護は、たまには夫に任せる

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※この記事は「ゆうゆう」2023年8月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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