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【ブギウギ】スズ子が恋に落ちた描写がなく戸惑ったが、おそらく一番わかっていないのはスズ子自身だろう

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田幸和歌子

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。毎朝元気をもらえる作品になりそうな「ブギウギ」で、より深く、朝ドラの世界へ!

【ブギウギ】スズ子が恋に落ちた描写がなく戸惑ったが、おそらく一番わかっていないのはスズ子自身だろう

「ブギウギ」第35回より(C)NHK

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【ブギウギ】羽鳥を演じる草彅剛の宇宙のような存在感に目を奪われる。その軽やかさは異質だ!

足立紳・櫻井剛脚本×趣里主演のNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『ブギウギ』の第7週「義理と恋とワテ」が放送された。

今週はスズ子(趣里)と秋山(伊原六花)2人の「義理と恋とワテ(自分自身)」が平行して描かれる。

東京の梅丸楽劇団の旗揚げから1年、スズ子と秋山は人気者になっていた。そんな2人のもとにUSKの林部長(橋本じゅん)が訪れ、大阪に戻って欲しいと懇願する。だが、秋山はダンサーの中山(小栗基裕)と恋仲で、スズ子は松永大星(新納慎也)のことが気になっていた。また、作曲家・羽鳥善一(草彅剛)は新しい曲を作るべく、スズ子に作詞家・藤村薫(宮本亞門)を紹介する。

一方、中山にプロポーズされ、娘役への転向を勧められた秋山は、違和感を抱いていた。

そんな中、スズ子に引き抜きの話が勃発。松永から、梅丸のライバル・日宝に一緒に移籍しようと誘われたのだ。日宝が提示した条件は、梅丸の給料の1.5倍。もちろん羽鳥は、大反対するが、スズ子は心が揺れる。

しかし、スズ子の引き抜き話は梅丸に知られてしまい、大熊社長(升毅)は激怒、辛島部長(安井順平)に責められ、スズ子は軟禁されてしまう。自分が大変なことをしたと感じたスズ子だが、辛島の目を盗んで逃げ出し、松永に会いに行く。あろうことか、一緒に逃げようと提案し、自分の思いを伝えるスズ子に、松永にはアメリカに残してきたパートナーがいると伝えるのだった。

スズ子はひとしきり泣き、帰宅すると、そこには来客が。それは羽鳥と藤村で、2人が新曲作りに夢中になっている姿を見るうち、スズ子の顔がほころぶ。スズ子の帰宅に気づいた2人は、新曲「センチメンタル・ダイナ」を披露するが、スズ子は自分には歌う資格がないと言う。そこから日宝の誘いを断り、辛島部長に謝罪し、引き続き梅丸で活動することに。

一方、秋山は悩んだ末に中山からのプロポーズを断り、大阪へ戻る。

今週は「恋」を軸に、共に上京し、共同生活を送ってきたスズ子と秋山の精神年齢の違いが明確に描かれた。片やプロポーズされる一方、相手の好みや価値観を一方的に押し付けられる。恋を選び、プロポーズを受けることは、自身の好きなことや生き方を曲げる・諦めることだ。これは現代の女性にも通ずる選択であるため、秋山はSNSで賞賛され、自分の価値観を押し付けてくる中山は散々バッシングされていたのも、作り手の狙い通りだろう。

その一方、スズ子は松永には「デコチュー」「チョコレート、あーん(口にチョコを入れる)」程度のつながりしかなく、にもかかわらず、軟禁状態から逃げ出して、一緒に逃げようなどと誘い、思いを告白する唐突ぶりだ。スズ子が恋に落ちた描写がほぼなく、理解に苦しむ視聴者も多かったが、おそらく一番わかっていないのはスズ子自身だろう。秋山とは恋のステージも、1人の女性として、いや、1人の人間としてのステージも大きく異なるのは明らかだ。

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