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72歳 元ミス日本 伊藤千桃さんの暮らし方「生きる軸ができていれば、お金がなくても平気です」

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マチュアリスト編集部

神奈川県の葉山で土地に根ざし、質素で豊かに暮らす伊藤千桃さん。 飾らず、見栄を張ることなく、常にありのまま。 自分の物差しをもち、「お金から自由になる」暮らし方を伺いました。「ゆうゆう」2020年5月号の記事を再編集して、2回にわたりお届けします。

プロフィール
伊藤千桃(いとう・ちもも)
1950年ジャカルタ生まれ。「桃花源」の屋号で、神奈川県・葉山の自宅をベースにお弁当ケータリング、バーベキューサービス、民泊などを行う。著書は『千桃流・暮らしの知恵』(主婦の友社)。
自家栽培&自家焙煎のハーブティーの販売
https://chimomo.official.ec/
ワークショップも開催中。
https://ito-yoshi.com/archives/category/workshop
Instagram:@toukagenhayama

本当に必要なものを見極める物差しをもつ

葉山の山のふもとで暮らす伊藤千桃さんは、庭で採れる自然の恵みを料理し、お茶も化粧水も手作り。
「買うのはお肉くらいです。なぜなら、お金がないから」と笑う。

「昔からお金に余裕があったことは一度もありません。だけれど素晴らしい着物に出合い購入してしまった、ということは何度もありました」

やみくもに生活すべてを節約するのは寂しいし、気持ちが貧しくなる。使うところは使う、というのが伊藤さんの流儀だ。

「ときには上を見ておくことも必要と思って。本物を知ったうえで、取捨選択できる自分をもつことが大切だから。子どもや孫たちには、若いうちはお金を贅沢に使いなさいと言っています。自分の価値観は、多くのことを経験しないとつくれないでしょ。自分の物差しをしっかりもてば、こわいものはありません」

車は維持費がかかるので、1台手放して自転車に。坂道の多い逗子までのサイクリングを、健康と節約がかなう一石二鳥の娯楽と言う。お金がないこともむしろ愉しそうだ。

夏みかんは、実だけではなく、皮もマーマレードにして余すところなくいた だく。クレープのソースに最適。

辛い経験も人生の財産に

蓄えがないと、この先も暮らしていけるか不安が尽きない、となりがちだ。お金に縛られずに、心豊かに暮らす術は、いつどんなふうに身につけていったのだろうか。

「今だからこそ、こんなに『あっけらかん』としていますが(笑)、40年近く前には夫との関係がうまくいかず、うつのような状態になったことも。離婚後は、離れを人に貸し、接客を覚えて自宅でレストラン『桃花源』を始め、どうにか暮らしてきました。毎日慌ただしくて、とにかく必死で追い詰められていた。息子の反抗期もありましたし大変でしたね」

どうしてこうなったんだろうか…男運もないし、お金にも縁がない、と悩んだ時期も。それがある時期に、プツンとふっ切れたのだという。

「落ち込んでいた頃、図書館でたまたま借りた本の中に“ある日、足元に咲いていた小さな花に気づき、なんて可愛いんだろう、と思った。この花に気づくという幸せを、なぜ今まで忘れていたのだろうか”といった記述があったんです。これを読んだ後、私は思わず大きくうなずいてしまいました。目が覚めたんです。身近なもの、ひとつひとつに幸せを感じ、満ち足りることを忘れていた、ずっと何も見えていなかったんだと」

それからは、まわりの自然に目が行くようになり、毎日が愉しくて仕方なくなった。庭いじりをしていてバッタと目が合ったり、草木の芽吹きに季節の巡りを感じたり。

辛い経験を重ねてきた今だからこそ、気づいたことも多い。
「人は苦労するのも必要。お金がなかったおかげで、まわりの自然の豊かさに気づき、恩恵を余すところなくいただいて暮らす知恵がつきました」

春のふきのとう、夏の山椒、秋の銀杏、冬の金柑など、滋味深い風味はどれも季節のご馳 走。庭仕事の際に採取し、食卓へ。

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