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韓国リメイク版「愛していると言ってくれ」。2人の映像が絵画を見ているかのようでひたすら美しい9~12話レビュー【韓国ドラマ】

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モウンが案内係を務めるジヌの個展会場で、ソギョンは大学時代に彼女を執拗にストーキングし、学校に放火までした画家のドフン(パク・ギドク)から「まだあいつ(ジヌ)を忘れられないのか」となじられる。その怒声はジヌの耳には届かず、モウンの胸にだけ突き刺さった。モウンも、“聞こえる”つらさに直面していた。

「(ジヌが)聞こえないから寂しげに見えたけど、聞こえるからこそ寂しくなる瞬間がある」とモウンが弱音を吐いた相手は、幼なじみの音楽プロデューサー・ジョハン(イ・ジェギュン)。「過ごした時間が長いと、思い出も多い」と、ジヌとソギョンの関係の深さを思い知り、受け止めきれずにいるモウンに、「過ごした時間が長くても、お前は俺に恋愛感情はないだろ? 彼らも今は友達だ、一時は恋人でも」とやさしく励ます。

実は、モウンがようやくレギュラー出演を勝ち取ったテレビドラマの音楽監督を引き受けたのは、ジョハンだった。モウンを長いこと好きでいるのに、心許せる男友達、としか見られない自分。ジョハンはドラマ主題歌の歌詞に思いを託してモウンに聞かせ、その様子を涙目で見つめる。若手実力俳優イ・ジェギュンが演じるジョハンの苦しく切ない表情に、思わず背中をさすってあげたくなる。君はいいヤツだ、と。

そして、ジヌは別れた後まで詮索し始めるソギョンに向かい、「すでに忘れた過去を蒸し返さないでくれ」と突き放す。
「過去の時間」と「現在の瞬間」。それぞれに尊いけれど、天秤にかけて重さを比べることはできない。とりわけ、すべてを奪われる経験をしたジヌにとっては、「過去の時間」の持つ意味は儚いものなのかもしれない。いま、ジヌが大切にしているのは、モウンと紡ぐ瞬間の積み重ねなのだ。

新緑がまぶしい季節。廃線のある公園のベンチに並んで座るジヌとモウン。微笑みながら、ゆっくりと手話で心を通わせる姿は、絵画を見ているかのようでひたすら美しい。いまこの一瞬を慈しむように過ごす2人の映像が、幸せとは何かを教えてくれる気がした。大切なのは、「いまの私たち」。お天気も、そよぐ風も、音楽も、衣装も、すべてが2人に味方してくれている。

だが、ジヌの個展の最終入場者として現れ、絵を前に涙する老婦人の存在。そして、ソギョンの心に募る片思いは、その足をジヌのアトリエへと向かわせ……。残り4話、波乱の暗雲が立ち込める。

配信情報
『愛していると言ってくれ』
ディズニープラス スターにて独占配信中
(全16話/毎週月・火1話ずつ配信)

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原作 日本のテレビドラマ「愛していると言ってくれ」(脚本 北川悦吏子・製作 TBS)

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