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【ブギウギ】3ヶ月の拘束と引き揚げを涼しい顔で「大変だったぁ」の一言でまとめるのが、羽鳥(草彅剛)というキャラクター

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田幸和歌子

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。毎朝元気をもらえる作品になりそうな「ブギウギ」で、より深く、朝ドラの世界へ!

【ブギウギ】3ヶ月の拘束と引き揚げを涼しい顔で「大変だったぁ」の一言でまとめるのが、羽鳥(草彅剛)というキャラクター

「ブギウギ」第70回より(C)NHK

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【ブギウギ】りつ子(菊地凛子)のモデルとなった淡谷のり子の史実。歌の最中に出撃となった兵士たちが1人、また1人と敬礼して去った

ついに戦争が終わった。

趣里主演のNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『ブギウギ』の第15週「ワテらはもう自由や」。月曜放送回の冒頭、天皇がポツダム宣言を受諾したことを国民に告げる「玉音放送」の場面から幕をあける。玉音放送の場面ではある種“お約束”の、何を言っているのか分からない人がいる描写を小夜(富田望生)がきっちり担当しつつ、物語はここから終戦と復興のターンに本格的に突入していく。

年末年始を挟み放送された第13・14週ではスズ子(趣里)と茨田りつ子(菊地凛子)、そして羽鳥(草彅剛)、悪化の一途をたどる戦局の中での、それぞれの「歌」への向き合い方が描かれた。それぞれが戦時下で見つめた自分にとっての「歌」、いよいよ終戦、サブタイトルの通り「自由」な環境でふたたび思いきり表現できる喜び、そして新たに広がる“戦後”という世界で物語はどう展開していくのか。

戦争が終わり、東京での劇場公演が再開する。りつ子とスズ子、ひさしぶりの共演でもある。りつ子が歌う「別れのブルース」。14週で、特攻隊員たちをその歌で送り出すこととなる運命に心を痛めた経験を経て、すべてを乗り越えるような渾身の歌唱がフルコーラスで届けられる。

そして、スズ子のステージだ。決められた場所から動いてはいけないパフォーマンス、控えさせられた派手なメイクや衣装、それらの制限が取り払われ、ついに帰ってきた、ステージ狭しと駆け回り生き生きのびやかに届けられる“完全体“のスズ子。スウィングの女王、大復活である。楽団の掛け合いパフォーマンスも復活、みんなが好きなスズ子が視聴者の前にも帰ってきた。客席にはそんな姿を嬉しそうに見守る羽鳥の姿が……。

月曜放送回で、上海で何者かにピストルを突きつけられどこかに連行されるという不穏な空気を醸し出していた羽鳥、3ヶ月拘束されたが「運良く解放されて引き揚げ船にもぐりこむことができた」のだそう。歯車がひとつ違っていたら二度と日本の土を踏めなかったという大変な状況だったかもしれないが、それを涼しい顔で「大変だったぁ」の一言でまとめるのが本作の羽鳥というキャラクターだ。

15週で描かれる戦後の描写のひとつの舞台が闇市だ。愛助(水上恒司)の大学復帰のお祝いのために食品を買いに訪れたものの、高い価格で取引される闇市での食料品。戦後を生きる厳しさが描かれる一方で、子どもたちにチョコレートを配る米兵たち。そんななか、プライドを捨てたかのように、子どもたちに混ざってチョコレートをもらうことに成功した小夜。久しぶりのチョコレートは小夜とスズ子にとってとてもおいしかったわけだが、この「ギブミーチョコレート」のやりとりは、その後、想像以上に重要なものだった。

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