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【光る君へ】惹かれ合う紫式部(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)。身分の差、母の死をめぐる因縁とどう向き合っていくのか?

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志賀佳織

2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」の放送がスタートしました。『源氏物語』の作者・紫式部のベールに包まれた生涯を、人気脚本家・大石静がどう描くのか? ここでは、ストーリー展開が楽しみな本ドラマのレビューを隔週でお届けします。今回は、第3回「謎の男」と第4回「五節の舞姫」です。

前回はこちら。【光る君へ】紫式部(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の印象的な出会いに、濃厚な人間ドラマが繰り広げられる予感大!

【光る君へ】惹かれ合う紫式部(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)。身分の差、母の死をめぐる因縁とどう向き合っていくのか?

大河ドラマ「光る君へ」第3回より ©️NHK

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「光る君へ」第3回のタイトルは「謎の男」。第2回のラストで、通りを歩いていたまひろ(後の紫式部・吉高由里子)にぶつかってきた男がどうやらその「謎の男」であるらしい。

わびを言って逃げていく男(毎熊克哉)を放免(検非違使〈けびいし〉庁の下級役人)たちが追う。男が逃げてこなかったかと尋ねる彼らに、とっさに反対方向を指すまひろ。するとその視線の先にいたのが、なんと三郎こと道長(柄本佑)だったのだ。逃げた男が三郎だと思い込んだ放免たちに、三郎は拘束されてしまう。「逃げていたのはその人じゃありません!」と大声で叫び駆け寄るまひろに、三郎は視線と心の声で「来るな! 俺は大丈夫だ」と訴える。

今回のドラマで印象的なのがこの「心の声」だ。こうして「言わずともわかり合える」気持ちを表す場合もあれば、内裏に仕えたり、貴族の館に暮らす女性たちがヒソヒソ噂話をするときにも使われていたりする。

あまりに過ぎると、こちらのイマジネーションが奪われてしまう恐れもあるが、今回の作品では、これがとても効果的に使われているように見える。特にこの三郎の声は、やはり胸をキュンとさせる効果大、2人が2人だけの絆で「わかり合える」ソウルメイトとなっていくことを予感させるのだ。

獄に捕らえられた三郎だったが、報告を受けた父、右大臣・藤原兼家(段田安則)のとりなしで丁重なわびとともに解放された。しかし、そんなこととはつゆ知らぬまひろは、夜になっても、気を揉んで眠ることもできない。

庭先に出てみると、闇の中に人影が。すると、塀の上に登ったその男が口を開く。「あいつは無事だ。あいつとは、今、お前が案じている男のことさ」。月明かりに照らされて見えたその顔を見ると、あの「謎の男」だった。そう言うと姿を消してしまった「謎の男」。まひろは事態が飲み込めないままその場に取り残される。

一方、宮中では、自分の娘・詮子(あきこ/吉田羊)の産んだ懐仁(やすひと)親王を次の東宮に据えようとする兼家の目論見が水面下で着々と進められていた。

円融天皇(坂東巳之助)の体調が日に日に優れなくなっていき、それを不審に思った蔵人頭(くろうどのとう)の藤原実資(さねすけ/秋山竜次)は、天皇に給仕する女房たちを取り調べる。兼家の次男、三郎の次兄である藤原道兼(玉置玲央)が、父の命で、蔵人の立場を利用して円融天皇の食事に薬を盛っていたことは、女房に命じていたため発覚はしなかったが、道兼はこれを父に報告する。

ちなみに、ここでも疑われた女房たちの実資への不満が「心の声」もしくは「裏の声」として困惑した表情の実資とともに流れる。さまざまな人間模様が展開された宮中では、こんなふうに常にヒソヒソ噂話や悪口、不満や愚痴が漏れていたのだろうなぁと、そんなことも想像される。1000年前の世の中も今と変わらないじゃないと、歴史上の人物も急に身近に感じられたりする一場面だ。

円融天皇の回復を願って、安倍晴明(あべのはるあきら/ユースケ・サンタマリア)も邪気払いをするが、その後、兼家を訪ねてこう報告する。「いちばん重いお荷物を降ろされたらよろしいのでは、と先ほど奏上つかまつりました」。「追って褒美を遣わす」という兼家。

ひえぇ、なんと恐ろしい政の世界。現代よりももっとその発言が世の中を左右したであろう陰陽師の一言ですら、権力の道具に使われる。もう誰と誰がつながっているかわからなくなってくる。

まひろは父・藤原為時(岸谷五朗)から、左大臣・源雅信(益岡徹)の屋敷を訪ね、その娘・源倫子(ともこ/黒木華)らが集う歌会に出てはどうかと勧められる。歌と聞いて興味を惹かれて出かけていくと、そこには上流貴族の娘たちが集い、雅信の妻・藤原穆子(むつこ/石野真子)の女房・赤染衛門(あかぞめえもん/凰稀かなめ)から和歌を学ぶための集いが開かれていた。

大河ドラマ「光る君へ」第3回より ©️NHK

最初はまひろの身分の低さに戸惑う一同だったが、「偏つぎ」(出題された漢字の偏に合うつくりの札を取る)などの遊びをするうちに、まひろの並大抵ではない漢字や歌、文学の素養に一目置くようになっていく。しかし、帰宅したまひろを待っていたのは、倫子の様子を知りたがる為時の姿だった。そして、自分が兼家の出世欲のための間者(スパイ)にされたことを知り、傷つき怒る。

ある日、歌会からの帰り道、散楽を見ようと辻に立ち寄ると、三郎がそこにいた。見えない力に引き寄せられるように駆け寄る2人。「会いたかった」。本編では入っていないが、予告編ではここにまた心の声が重ねられている。2人がそう見つめ合ったとき、散楽の女形の面が外れる。なんとそれは「謎の男」だった。

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