私らしく生きる 50代からのマチュア世代に

人気記事ランキング 連載・特集

いざというときのために知っておきたい【生活保護】の仕組みとは? ファイナンシャルプランナーが解説

公開日

更新日

ゆうゆう編集部

車の保有は原則NG。仕事上必要なら例外規定が

生活保護の受給がスタートすると、原則として車の保有は認められません。ただし、すぐに売却しなければならないわけではなく、引き続き保有できる期間が設けられています。その期間は、自治体によって異なるようです。

車がないと仕事ができない受給者には、例外的に車の保有が認められるケースもあります。実際のご相談者の例ですが、自営の水道修理業を営む方がいて、車に修理道具を載せているため、車を処分するとなると廃業するしかありません。その方は本来の規定よりも長期間、車の保有が認められました。

高齢期に入ってから生活保護を受給されている方を見ていると、医療扶助が助けになっていると感じます。生活保護がスタートすると、各種健康保険から抜けることになりますが、自治体が医療費の全額を負担してくれるため、健康保険に加入していたときには1〜3割負担だった医療費の自己負担がゼロになるからです。

実際に生活保護受給者と、生活保護費と同水準の年金受給者では、医療費負担がない分だけでも、生活保護受給者のほうが生活は楽だと感じます。さらに生活保護受給者はNHKの受信料が免除されたり、水道代が減免されたりもします。必要だと認められれば、眼鏡や家具の購入費用(上限あり)も支給されます。

親が存命の場合、相続放棄できない点に注意

よいことが多いと感じられる生活保護にも、注意点がいくつかあります。たとえば、65歳未満で生活保護の受給を開始する場合、身体や精神の病気であると証明しない限り、原則として働くことが求められます。求職活動の状況を、ケースワーカーに報告する義務も生じます。

親御さんが存命のうちに生活保護を受け始めた場合、親御さんが亡くなったときに相続放棄ができず、相続財産を受け取った時点で、生活保護が停止になります。しかも相続財産額によっては、それまでに受け取った扶助費の返還を求められるケースもあります。実際にご相談者の中にも800万円を超える扶助費を返還した人がいます。親御さんが存命で受給を考えている人は、返還問題についても知っておく必要があるでしょう。

●法制度などは、2024年2月末現在のものです。

※この記事は「ゆうゆう」2024年5月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

★あわせて読みたい★

老後のお金の不安を一掃する「資金プラン」の立て方とは? ファイナンシャルプランナーが伝授 60歳からの家計を見直し、効果的にやりくりする6つの方法とは? ファイナンシャルプランナーが伝授 もらえる年金タイプ別!【黒字化できる家計診断】で今と将来の安心をチェック
監修者

ファイナンシャル・プランナー

畠中雅子

ファイナンシャルプランナー(CFP®️)。新聞、雑誌、ウエブなどに多数の連載、レギュラー執筆を持つ。セミナー講師、講演、相談業務、金融機関へのアドバイス業務なども行っている。高齢者施設への住み替え資金アドバイスをする「高齢期のお金を考える会」や、ひきこもりのお子さんの生活設計を考える「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。『70歳からの人生を豊かにする お金の新常識』(高橋書店)、『貯金1000万円以下でも老後は暮らせる』(すばる舎)、『病気にかかるお金がわかる本』(主婦の友社・共著)など、著書、監修書は70冊を超える。

ファイナンシャルプランナー(CFP®️)。新聞、雑誌、ウエブなどに多数の連載、レギュラー執筆を持つ。セミナー講師、講演、相談業務、金融機関へのアドバイス業務なども行っている。高齢者施設への住み替え資金アドバイスをする「高齢期のお金を考える会」や、ひきこもりのお子さんの生活設計を考える「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。『70歳からの人生を豊かにする お金の新常識』(高橋書店)、『貯金1000万円以下でも老後は暮らせる』(すばる舎)、『病気にかかるお金がわかる本』(主婦の友社・共著)など、著書、監修書は70冊を超える。

ゆうゆう2024年5月号

今月の特集は「モノがあっても心地いい家」がテーマです。3つの実例では、思い出の品や捨てられないモノをセンス良く配置するコツを拝見。また、収納のプロには、今あるモノをすっきり見せる&しまうコツを教えてもらいました。どのコツも、ちょっとした工夫で見た目の印象がガラリと変わるものばかり。やってみよう、と思ったらさっそく実践を。

もう一つの特集テーマは「何歳からでもできる! 一生歩ける体のつくり方」。いつまで若々しい由美かおるさんの毎日習慣の他、心まで前向きになる「ポジティブウォーキング」、無理なくできて筋肉を育てる「ちょいトレ」をご紹介。外歩きが気持ちいい季節、前を向いて颯爽と、歩いてみませんか。

※「詳細はこちら」よりAmazonサイトに移動します(PR)

詳細はこちら
この記事の執筆者

PICK UP 編集部ピックアップ