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【ブギウギ】「あんたと一緒に生きるで」愛助から愛子へ “あんた”の見事な交代劇が描かれる

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田幸和歌子

【ブギウギ】「あんたと一緒に生きるで」愛助から愛子へ “あんた”の見事な交代劇が描かれる

「ブギウギ」第86回より(C)NHK

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1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。毎朝元気をもらえる作品になりそうな「ブギウギ」で、より深く、朝ドラの世界へ!

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「あんたと一緒に生きるで」

趣里主演のNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『ブギウギ』第18週のこのサブタイトルが示す“あんたと一緒に生きる”という言葉。これは、病状おもわしくない愛助(水上恒司)とともに生きるという、スズ子(趣里)の強い意志なのだろうか。

展開的には前週からの流れを引き継いだもの、愛助の闘病、スズ子の妊娠、そして迫る新たなミュージカル「ジャズカルメン」の行方がそれぞれどうなるかというものだ。大阪でトミ(小雪)のもと入院生活を送る愛助。お腹が大きくなりながらも順調な経過をたどり、医師からの舞台出演お墨付きももらったスズ子。舞台の稽古は続く。愛助が思ってくれること、もしかしたら病状が良くなったら見にきてくれるかもしれないこと、そのような思いがスズ子を強く支え続けた。

「腹ぼてなのがまたいい味出してるよ」
そんな羽鳥(草彅剛)の軽口に言い返すこともまた、スズ子のいつも通りを引き出し、リラックスにつなげてくれるのだろう。そして、ひとたび舞台の上に立てばすべてを忘れ、歌の世界の住人として観客に夢を届ける。天性のエンターテイナーだ。もちろんそこには愛助への思いがあることは言うまでもない。遠く離れていても、「あんたと一緒に生き」ているという実感があるからこそだ。

羽鳥が作りあげるジャズの要素を盛り込んだカルメンを見事に表現するスズ子。毎回、ステージパフォーマンスの演出は豪華で華やか、視聴者としてもその舞台の世界にしばしひたれるような感覚は、このドラマの大きな楽しみのひとつだ。羽鳥とスズ子でなければ表現できない新たな魅力を放つミュージカルとなった「ジャズカルメン」は、大好評となった。

いっぽう愛助の病状は悪化の一途を辿る。「一日だけでも」と懇願するが、医師の許可は下りず、東京行きは断念。風邪をこじらせてしまったと手紙で嘘を書く。

大盛況のなか舞台は千秋楽をむかえ、いよいよスズ子の出産が近づくものの、愛助は戻らず「もうすぐで帰れると思います」という言葉が届くばかり。手紙も短い文章のハガキに変わってしまったことが、スズ子の不安を募らせる。手紙が支えとなってきたものの、やはりずっと不安はスズ子の中にある。スズ子は大阪行きを相談するが、さすがに出産が迫る中では送り出すことができないと許可は下りなかった。

母の反対と、愛助の病気によって、会いたくても会えないという悲恋物語の様相を呈する部分もあるが、この困難に、大阪と東京再度のメッセンジャー的立場となり、かつては結婚するなら歌手を辞めてほしいという条件を提示した秘書室長の矢崎(三浦誠己)も、愛助の病状とスズ子への思いに、「結婚を許す許さないは別として、ボンと福来さんを会わせてあげてはどうでしょうか」と提案する。

「それは……絶対あかん……」
拒否したのは、トミではなく愛助だった。出産を控えたスズ子にいまの姿を見せるわけにはいかない。絶対に内緒にしてほしいと懇願する。愛助もまた、「あんたと一緒に生きるで」という思いで病と闘い続けるのだ。

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