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【中野翠のCINEMAコラム】画家と妻と、人生の師でもあるネコのピーターとの物語。『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』

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中野翠

ユニークな視点と粋な文章でまとめる名コラムニスト、中野翠さんが、おすすめする映画について語ります。今回は、猫好きの方は必見!英国で爆発的な人気を博したネコ画家と、彼を守り続けた妻とネコとの物語。無心の生きものの姿が心の支えに。『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』を紹介します。

私は知らなかったが、19世紀末から20世紀にかけて、イギリスではルイス・ウェインというイラストレーターがいて、彼の描く猫の絵が大人気だったという。

信じがたいことに、ルイス・ウェインが描く以前は、猫はネズミ退治役の生きものと軽く見られていた。それがルイス・ウェインの絵によって、俄然、多くの人びとが猫の魅力に気づかされたというのだ。

そのルイス・ウェインは、イギリスの上流階級に生まれ、絵を描くのが好きだったので、ロンドンの新聞社でさしえ画家として活躍。今で言うならイラストレーター。 階層のきびしい時代の中で、妹の家庭教師をしていたエミリーに惹かれ、周囲が反対する中、結婚して幸せに暮らしていたのだが、 やがて、エミリーは末期ガンを宣告されることに……。

そんな苦しい日々の中、二人の心を救ってくれたのが、庭に迷い込んだ子猫だった。二人はその子猫をピーターと名付け、心の支えにしていた。そして猫の絵ばかりを描くようになって、大成功をおさめることになるのだが......という話。

なるほどなあ、と思う。人々の心からの慰めの言葉もありがたいものの、無心の生きもの(猫であったり犬であったり)の姿が、何よりもの励ましになったり、慰めになったり――ということも多いのだった。

話があとになったが、ルイス・ウェインを演じたのはベネディクト・カンバーバッチ(はい、私、長年ヒイキにして来ました)。顔も体も直線的なんですよね。いかにも「英国紳士」という風貌。実際、名家の出身なのよね。その妻・エミリーを演じたのは、NETFLIXの人気ドラマシリーズ「ザ・クラウン」で複数の賞を受けたクレア・フォイ。手がたいキャスティング。

ドラマ自体ばかりではなく、世紀末の男女のファッションとインテリアに、おおいに注目。上等のアンティック店に迷い込んだ気分! というわけで......猫好き必見の映画でしょう。犬好きの私でも、さまざまな猫たちを愛らしく思ったのだから......。

『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』

● 監督・脚本/ウィル・シャープ 出演/ベネディクト・カンバーバッチ、クレア・フォイ 他 12月1日よりTOHOシネマズ シャンテ 他 全国公開(イギリス 配給/キノフィルムズ)©2021 STUDIOCANAL SAS - CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

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