水谷豊さん23年ぶりの舞台への挑戦! 堤真一さんら濃い4兄弟の長男となる
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ゆうゆう編集部
世代も性別も超えて愛され続けるドラマ「相棒」での静かなる熱演が人気の水谷豊さん。4月からは約23年ぶりとなる舞台、『帰ってきたマイ·ブラザー』に出演しています。70 歳にして新たな舞台に挑む理由、そして仕事や人生について思うことを伺いました。
長く続けたからこそたどり着ける世界がある
ブリティッシュスタイルの3つボタンのスーツをビシッと着こなし、英国紳士よろしく優雅にチェスと紅茶をたしなむ。そうかと思えば、捜査現場では並外れた推理力で事件を解決に導く、警視庁一の切れ者にしてくせ者⏤⏤。今や国民的ドラマとなった「相棒」シリーズの主人公、警視庁特命係の警部·杉下右京を長きにわたり演じているのが水谷豊さんだ。
「気がつけば『相棒』が始まって23年。僕も70歳になりました」
これまで「熱中時代」や「刑事貴族」など人気シリーズを牽引してきた水谷さんにとっても、40代後半から演じ続けてきた杉下右京という役柄には特別な思いがあるようだ。
「長く続けると、長く続けた者にしかわからない世界が見えてきます。だからといって、長く続けるにはどうしたらいいかは僕にもわからない。わかっていたら、若い役者さんたちに教えてあげたいですよ」
俳優はひとりで成り立つ仕事ではない。ドラマの中で右京さんが“相棒”を得て活躍してきたように、水谷さんもまた人との出会いを大切にしているという。
「いいメンバーと出会えるかどうかはプロデューサーにお任せするしかないのですが、それがかなったときにはもう自分の想像をはるかに超えるものが待っていることを、長くやってきたからこそ知っています」
「相棒」はシーズン21を数えるモンスター級ドラマ。これだけ長く続いてもマンネリ化しない秘訣は何なのか。
「僕は過去を振り返らず、いつも今と今から先のことを考えています。そして、ひんしゅくを買うことを恐れない、ということも大事かもしれません。ひんしゅくを恐れるあまり臆病になったり、安住の地を求めようとしたりすると、マンネリになってしまうから。僕は、ひんしゅくには“いいひんしゅく”と“悪いひんしゅく”があって、“いいひんしゅく”は買っていいと思っているんです。ひんしゅくですから世間から責められることがあるかもしれないけれど、それは自分にとっては“いいひんしゅく”だと思えば納得できる。
『相棒』の脚本家やプロデューサーとも、『現状に安住しないよう、いいひんしゅくは買っていこう』と話していました」
俳優としてのキャリアは50年以上だが、若い頃から変わらない思いもある。
「どんな仕事でも悔いが残ると嫌なんです。だから悔いがないように、『これが最後になってもいい』と思える仕事をしていこうと思い続けています」

舞台では濃い4兄弟の長男を演じます!
4月1日に出演する舞台『帰ってきたマイ·ブラザー』が幕を開けた。水谷さんにとっては2000年の『陽のあたる教室』以来約23年ぶり、俳優人生で三度目の舞台となる。
「70歳を目前に、ふと『果たして僕は役者として、もう一生舞台をやらないんだろうか』と思ったんです。舞台が嫌いでやっていなかったわけではないから、そんな疑問をずっと抱えていくよりも、やって結論を出したらどうかと思い至りました。舞台はもういいと思うのか、ときどき舞台をやっていきたいと思うのか、ちょっと1回トライしてから考えようと出演を決めました」
かつてヒット曲を放ったものの、あっという間に表舞台から姿を消してしまった兄弟4人のヴォーカルグループ「ブラザー4」の物語。ひょんなことから令和の時代に再び脚光を浴びることになるが……。
「この4兄弟が濃いんですよ(笑)。まずそれだけで僕は興味をもっちゃいました。兄弟グループが表舞台から消えたあと、4人はそれぞれどういう生活をしていたんだろう。何がきっかけで、今回また集まることになったんだろう。バラバラになった兄弟が再び4人集まって、さあ、どんな歌を歌うんだろう……僕もワクワクしています」
水谷さんは4兄弟の長男役。二男役に段田安則さん、三男役に高橋克実さん、四男役に堤真一さんと、そうそうたる顔ぶれに期待は高まるばかり。
「安則は若い頃から知っています。2時間ドラマでコンビを組んだこともあるし、最近では時代劇で共演も。長男役の僕よりしっかりしているので、頼りがいがあります。克実とは『相棒』でも共演しました。明るくてとらえどころのない三男役がぴったりだと思いますよ。真一だけ、一緒に仕事をするのは今回が初めて。初共演が舞台って、ちょっと不思議な気持ちでもありますが、こんなにハンサムな弟がいたら嬉しいですね。本当に同じ親から生まれた兄弟なのかな、とも思うけれど(笑)、すごく楽しい兄弟になりそうです」
さらに、兄弟グループの元マネージャー役として寺脇康文さんが出演。寺脇さんといえば、「相棒」シーズン1から水谷さん演じる右京さんとタッグを組む熱血刑事·亀山薫役で人気に。08年のシーズン7で相棒役を卒業したものの、最新のシーズン21で14年ぶりに復帰し、大きな話題を呼んだ。
「実は、『相棒』に亀山くんがカムバックする話より先に、この舞台が決まっていたんです。寺脇は、まさか自分が『相棒』に戻ってくるとは、ましてや舞台とドラマの両方で共演することになるとは思ってもいなかった。2人で話をしたとき、『どうしましょう?』と聞かれました。『ダメだと言うなら僕はやりません。だけど、豊さんがいいよって言うなら両方やります』って。僕にとって、彼は弟のような存在。『そんなの決まってるだろう。やろう!』と答えました。『相棒』とはまったく違う役どころですから新鮮に映るでしょうし、僕も新しい関係性が築けることを楽しみにしています」